研究課題/領域番号 |
16K07872
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
舩原 大輔 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (00335150)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アコヤガイ / キャッチ収縮 / 閉殻筋 / 細いフィラメント / トロポミオシン / トロポニン / カルポニン / 大腸菌発現系 |
研究実績の概要 |
二枚貝の貝柱などを構成する平滑筋はエネルギーをほとんど消費しないで長時間にわたって張力を維持するキャッチ収縮を行う。その分子機構を明らかにすることを目的として、本研究では細いフィラメントに関連したタンパク質に着目し、その役割を解析することとした。アコヤガイ閉殻筋を研究対象とした。 アコヤガイ閉殻筋の細いフィラメント系タンパク質であるトロポミオシン-1およびトロポミオシン-2、トロポニンC、トロポニンI、トロポニンT、カルポニン-1、カルポニン-2、カルポニン-3、カルポニン-4、カルポニン-5、カルポニン-6、カルポニン-7について大腸菌発現系の構築を行った。それぞれの遺伝子の塩基配列を大腸菌発現系に最適化したのち、その配列を基に人工遺伝子合成サービスを利用してDNAを作製した。トロポミオシンDNAは発現用プラスミドpET-21b+に導入した。それ以外のDNAはpET-15bに導入した。宿主大腸菌にはいずれにもBL21(DE3)を用いた。発現は自己発現誘導培地を用いて37℃で24時間行った。 発現誘導終了後、SDS-PAGEにより発現タンパク質の確認を行った。トロポミオシン-1およびトロポミオシン-2、トロポニンC、トロポニンTは可溶性画分に得られた。それ以外は封入体を形成して不溶性であったが、尿素を添加することで可溶化した。トロポミオシンについてはイオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて精製した。それ以外はヒスチジンタグ融合タンパク質として作製したので、アフィニティークロマトグラフィーにより精製した。 精製標品を用いて、一部分子間相互作用解析を行った。カルポニンのカルシウム結合能を解析したところ、カルシウムとの結合を示すデータは認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の計画では、アコヤガイ閉殻筋の細いフィラメント系タンパク質の大腸菌発現系の構築であったが、それに成功しただけでなく、次年度の計画の一部である発現タンパク質の分子間相互作用を解析できた。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで計画通りに研究は進んでいるので、当初の計画案に沿って研究を進める。すなわち来年度については、本年度作製した発現タンパク質を用いて、細いフィラメント系タンパク質の相互作用解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は当初の計画以上に進展しているが、これは予想以上に実験がうまくいったことによる。したがって当初想定していたよりも、実験の実施に伴って必要となる物品費が少なく済んだことにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の物品費の一部として使用する予定である。
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