研究課題
前年度では両アレルに異なる変異を持つNeu1変異ゼブラフィッシュの解析を行ったが、正しい解析には両アレルの変異が同じNeu1ノックアウトゼブラフィッシュの作製が重要であると考えた。そこで最終年度では、モザイク状にNeu1変異を持つF0ファウンダーを野生型を掛け合わせて方アレルのみに変異を持つF1を作出、さらにこの中から同じ型の変異を持つF1同士を掛け合わせてF2(Neu1ノックアウトゼブラフィッシュ)の作出を行った。F2世代の胚についてその遺伝子型を解析したところメンデルの法則にほぼ準じており、発生時のKO個体の死亡はほとんど見られなかった。一方、このノックアウトゼブラフィッシュではシアリダーゼ活性が有意に低下しており、Neu1以外のシアリダーゼ由来と思われる活性がわずかに残存しているだけであった。哺乳類ではNeu1遺伝子の完全欠損は胎児期もしくは出生直後にその多くが死亡するが、魚類ではこのような現象が無いことから、このNeu1ノックアウトゼブラフィッシュは「死なないNeu1欠損モデル」として有用であることが明らかとなった。一方このゼブラフィッシュは野生型と比較すると、体長が短いことが分かった。そこで遺伝子発現を解析したところ、骨形成、筋肉形成の遺伝子発現パターンが野生型と異なっており、また摂食関連遺伝子も低下していることが明らかとなった。また感染症におけるNeu1の機能についても検討した。魚病バクテリアを魚類細胞に感染させるとNeu1の遺伝子発現が変化することから、感染においてNeu1が何らかの形で関与していることが推察された。実際にNeu1遺伝子導入細胞で感染実験を行ったところ、その感染が変化していた。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (5件)
Trend. Glycosci. Glycotech
巻: 31 ページ: E7-E13
https://doi.org/10.4052/tigg.1518.1E
巻: 31 ページ: J7-J14
https://doi.org/10.4052/tigg.1518.1J
Biochimie
巻: 142 ページ: 94-104
10.1016/j.biochi.2018.04.003