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2017 年度 実施状況報告書

コイヘルパーT細胞亜集団の同定-抗原特異的クローン化T細胞株を用いた検討-

研究課題

研究課題/領域番号 16K07881
研究機関日本大学

研究代表者

森友 忠昭  日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20239677)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードヘルパーT細胞 / 魚類
研究実績の概要

平成29年度研究においては,主に効率よくコイT細胞クローンを得る方法の確立を目指した.すなわち,T細胞増殖因子であるコイ・インターロイキン2(IL-2)の組換えタンパク質を作製し,コイT細胞への増殖効果の有無を測定した.
コイは2種類のIL-2遺伝子(IL-2A,IL-2B)を有しているが,これらの遺伝子をクローニングし,大腸菌によるタンパク発現系を用いてIL-2AおよびIL-2Bの組換えタンパク質(rcIL-2A,rcIL-2B)を作製した.これらコイIL-2の活性は,申請者らがすでに確立しているコイT細胞培養系を用いて調べた.すなわち,コイのリンパ組織でもある腎臓から白血球を分離し,支持細胞(ギンブナ胸腺由来 GTS9細胞株)上に播種すると,ヘルパーT細胞(Th)が選択的に増殖する.これらTh 細胞を回収し48 穴プレートに 1×105個/mL の濃度で播種し,これに rcIL-2AまたはrcIL-2B を終濃度 0, 1, 10, 100 および 1000 ng/mL になるよう加え、30℃、5%CO2存在下で培養した.
rcIL-2AおよびIL-2Bとも,1 ng/mL 以上の濃度でコイ Th 細胞の活発な増殖が認められた.特に,100 ng/mLのrcIL-2 存在下で最大の細胞増殖効果を示した.すなわち,無処理群においては,培養9日目までに培養開始時の細胞数の約1.45 倍の細胞増殖しか認められなかったのに対し,100 ng/mLのrcIL-2存在下においては,当初の細胞数の約 2.7 倍まで細胞増殖が認められた.
コイ IL-2は哺乳類のIL-2と同様にTh細胞へ作用し,増殖を促進することがわかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成28年度の研究で,哺乳類と同様コイにおいても混交リンパ球反応(MLR)にてT細胞の増殖がおこることを示した.そこで29年度はMLRで増殖したT細胞をさらに,コイrcIL-2等を加える等してクローニングし,抗原特異的(アロ反応性)T細胞クローンを得るべく研究を行っていた.しかし,実験途中で使用していたコイが停電などで全滅したため,研究を遂行することが困難となった.

今後の研究の推進方策

平成30年度の研究では,昨年行えなかった,混合リンパ球反応(MLR)によって増殖した,アロ反応性のT細胞の単クローン培養を試みる.
すでに28年度研究において,我々はResponderのコイに別の個体の白血球(Stimulator)で免疫しておき,その後,これらResponderとStimulatorの白血球を混和・培養することで,抗原特異的なTh細胞の培養が可能であることを示した.平成30年度はこのMLRで増殖した抗原特異的なコイT細胞を抗原(Stimulator白血球)や組換えコイIL-2在下で培養し,さらなるT細胞の増幅を試みる.そして我々がすでに開発している方法でクローン化Th細胞株を作製する予定である.これらの解析により,従来作製が難しかった活性化T細胞由来の細胞株であることが確認できれば,魚類においてもヘルパーT細胞亜集団の存在を調べることができると考えられる.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] ワーゲニンゲン大学(オランダ)

    • 国名
      オランダ
    • 外国機関名
      ワーゲニンゲン大学
  • [雑誌論文] Thrombopoietin (TPO) induces thrombocytic colony formation of kidney cells synergistically with kit ligand A and a non-secretory TPO variant exists in common carp2018

    • 著者名/発表者名
      Fumihiko Katakura, Yuji Sugie, KiyotakaHayashi, Kohei Nishiya, Jiro Miyamae, Masaharu Okano, Teruyuki Nakanishi, Tadaaki Moritomo
    • 雑誌名

      Developmental & Comparative Immunology

      巻: 84 ページ: 327-336

    • DOI

      10.1016/j.dci.2018.03.005

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Identification of novel polymorphisms and two distinct haplotype structures in dog leukocyte antigen class I genes: DLA-88, DLA-12 and DLA-642018

    • 著者名/発表者名
      Jiro Miyamae, Shingo Suzuki, Fumihiko Katakura, Sae Uno, Mizuki Tanaka, Masaharu Okano, Taro Matsumoto, Jerzy K. Kulski, Tadaaki Moritomo, Takashi Shiina
    • 雑誌名

      Immunogenetics

      巻: 70 ページ: 237-255

    • DOI

      10.1007/s00251-017-1031-5

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 魚類の腎臓造血2017

    • 著者名/発表者名
      森友忠昭,小林功,片倉文彦
    • 学会等名
      第88回 日本動物学会
    • 招待講演
  • [学会発表] コイ顆粒球コロニー刺激因子GCSFの造血活性の検討2017

    • 著者名/発表者名
      西谷広平・日野エリカ・宮前二朗・岡野雅春・片倉文彦・森友忠昭
    • 学会等名
      第88回日本動物学会
  • [学会発表] コイ顆粒球コロニー刺激因子は好中球の造血および遊走を促す2017

    • 著者名/発表者名
      片倉 文彦,西谷 広平,日野 エリカ,Annelieke Wentzel,宮前 二朗,岡野 雅春,Geert Wiegertjes,森友 忠昭
    • 学会等名
      日本比較免疫学会 第29回学術集会

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-22  

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