研究課題/領域番号 |
16K07884
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
山本 祥一郎 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, グループ長 (20392897)
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研究分担者 |
佐藤 俊平 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 北海道区水産研究所, グループ長 (70425461)
森田 健太郎 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 北海道区水産研究所, 主任研究員 (30373468)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オショロコマ / カラフトマス / 系統地理分析 |
研究実績の概要 |
本課題では、サケ科魚類複数種を対象とした遺伝標本収集調査を行い、ミトコンドリア(mt)DNA塩基配列データを蓄積していくとともに、サケおよびカラフトマスでは一塩基多型(SNP)分析、サクラマスとイワナ類ではマイクロサテライトDNA分析を指標とした遺伝子分析を実施する。複数遺伝子座のデータをもとに、距離による隔離構造の有無、放流河川における遺伝的構造の変化、種内系統群間の分化年代等を推定するとともに、最終的にはデータを統合しサケ科魚類5種を対象とした比較系統地理研究を展開する。今年度はカラフトマスとオショロコマを対象としてmtDNA塩基配列分析および核DNAマーカーによる集団構造解析を行った。オショロコマでは、北海道およびロシア日本海沿岸集団(western lineage)とそれ以北の集団(Central lineage)でmtDNA集団構造が大きく異なることが知られている(Yamamoto et al., 2014)。今年度は、両系統が同所的に生息する集団を含むいくつかの集団においてマイクロサテライトDNAによる遺伝分析を実施した。その結果、同所的集団ではハーディーワインベルグ平衡からの逸脱は観察されず、異なるmtDNA系統間の繁殖隔離は存在しないことが示された。カラフトマスについては、昨年度、連続する2年間(偶数年と奇数年)のサンプルを用いてmtDNA解析を実施し、偶数年級群と奇数年級群の間で有意な遺伝的分化を観察した。今年度は、同じサンプルを用いて、現有のSNPマーカーによる遺伝分析を行った。その結果、年級群間で大きな遺伝的分化が認められ、mtDNAの結果と同様であったが、遺伝的多様性は偶数年級群よりも奇数年級群で高いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サケ科魚類各種のDNA分析は、計画に従い順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、サケ科魚類のうち主にサケを対象として、標本の収集調査とmtDNAおよびSNPでの遺伝子分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施した遺伝子実験において、これまでの助成事業等で用いた試薬や消耗品が一部使用可能となったため、消耗品等の購入を抑えることができた。次年度も引き続きサケ科魚類複数種を対象として各種遺伝子実験を実施する。したがって、遺伝子実験にかかる多くの試薬や消耗品等が必要となる。
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