今年度は海外共同研究者と協力しながら、次の作業に取り組んだ。チュートリアルに関しては、公開済みの仮想評価法、Case 1 Best-Worst Scaling (BWS)、Case 2 BWS2向け3編を改訂し、選択実験向け1編を作成・公開し、Case 3 BWS、トラベルコスト法、ヘドニック法向け3編の作成を進めた。パッケージに関しては、Case 1 BWSとCase 2 BWS向けパッケージの改良や新規関数の追加を行う一方、Case 3 BWS向けパッケージを公開した。国内機関でのセミナー報告や国内外からの問い合わせ対応等を通じて、本研究課題の成果の普及とそれらへの要望等の収集を進めた。 今年度を含めた補助事業期間全体の成果は、次の通りである。仮想評価法、選択実験、Case 1 BWS、Case 2 BWSのチュートリアルを作成し、自由に利用できるライセンスを付与してウェブ公開した。Case 1 BWSとCase 2 BWSの既存パッケージを改良する一方、Case 3 BWS向けパッケージを開発・公開した。これらのパッケージも自由に利用できるライセンスのもとで公開している。3つのBWSパッケージには指定した選択肢集合等の条件に応じて回答データを生成する関数を実装した。Case 3 BWS用関数は選択実験にも流用可能であることから、本関数により諸分野において、分野独自の例に基づいた選択実験と3種類のBWS向け回答データが簡単に生成できるようになった。これらの成果は、初心者が非市場評価法を活用する際に必要となる知識と技能を習得するための基盤構築に貢献している。なお、当初は次年度が本研究課題の最終年度であったが、研究計画最終年度前年度応募に申請・採択されたため終了が1年前倒しとなった。本来の最終年度の作業については、新規研究課題の初年度の作業の一部として行われる計画である。
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