研究課題/領域番号 |
16K07888
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
興梠 克久 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00403965)
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研究分担者 |
川崎 章惠 九州大学, 農学研究院, 助教 (30598412)
早尻 正宏 北海学園大学, 経済学部, 准教授 (50466637)
志賀 和人 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70334034)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 能力評価 / 林業事業体 / 雇用管理 |
研究実績の概要 |
北海道の大規模林業事業体(木質バイオマス収集業者,素材生産・森林経営を行う事業体,財閥系企業所有林の森林管理部門),静岡県の中規模林業経営体の機械共同利用組織(任意団体),九州の小規模森林所有者の団体(任意団体)に対する合同調査を実施し,人事考課制度の仕組み及び能力評価の実施状況と問題点,林業経営体内部に複数の人事管理制度(賃金制度等)が存在する場合に統一的な人事考課制度の導入を図る上での問題点とメリット等,中小森林所有者による林業経営における労働管理の実態及び改善方向等について検討した。林業においては,林業労働過程の特殊性(技術水準の低位性,季節的配列性,労働現場の広域性・移動性等)および経営規模の小規模性等を要因として,比較的成果主義に偏った人事考課(出来高制等)が多く,能力評価の導入があまり進んでいないことが明らかとなった。また,同一経営体内において若い雇用者を積極的に採用する一方で雇用か請負か判然としない作業者の存在も認められ,それぞれ異なった人事考課制度を併用し,複雑な組織運営を行っているケースも比較的多いことが明らかとなっ。併せて,先進的な雇用管理システムを導入している林業事業体に関する企業情報の収集(インターネット上の企業情報,業界団体等における聞き取り調査の結果の閲覧等による)及び論文,業界雑誌記事や調査報告書等の既往研究の整理をおこなった。特に,国の補助事業である「緑の雇用」事業における能力評価システム導入支援事業を導入した,もしくは今後導入意向のある林業事業体を対象として,雇用管理体制や能力評価の導入状況等に関する情報収集を重点的に行った。また,29年度以降に実施する予定の林業事業体アンケート調査の調査項目を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初に研究分担者と打ち合わせを行い研究の方向性を議論し,地域別の聞き取り対象の林業事業体の抽出を行った。また,先行研究の検討および各種統計データの分析,合同の現地調査や学会発表,雑誌論文の投稿等を行った。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き統計データの解析や先行研究の検討を進めるとともに、先進的な雇用管理システムを導入している林業事業体への聞き取り調査を実施する予定である。また,29年度実施予定の林業事業体全国アンケートについては,調査項目及び分析方法の検討を行うとともに,実施に際して現在業界団体及び行政に対して協力を要請し,実施方法等について打ち合わせを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査の本格的実施に向けた事前情報収集に時間を要し,計画していた現地調査の一部を次年度に実施することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き現地調査の計画的実施に努めるとともに,現地調査の実施・分析を行う研究分担者を29年度より1名追加することとし,効率化を図りつつ,研究の進行を早める予定である。
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