近年、ブドウやイチゴなどの品種の海外流出が大手メディアでも取り上げられるようになってきた。しかしその多くがセンセーショナリズムに流れ、UPOV条約の枠組みや種苗法の規定について正確な解説が付されていることはなく、また国内園芸経営にとっての得失について経営的視点からの分析を付したり、途上国援助のあり方と結び付けて論じたものも皆無である。本研究では、これまでの植物知的財産権についての研究を踏まえたうえで、東南アジアを中心に園芸経営における種苗導入実態の調査研究を実施して、アジア地域全体の園芸産品の高品質化、安定供給に資する植物遺伝資源管理の在り方を考えるための基礎研究を行ったものである。
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