研究課題/領域番号 |
16K07894
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
徳田 博美 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (20346000)
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研究分担者 |
宮井 浩志 四国大学, 地域教育・連携センター, 准教授 (10620908)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 果樹農業経営 / 企業的農業経営 / 6次産業化 / 新規農業参入者 |
研究実績の概要 |
企業的果樹農業経営を既往研究、報告書などに基づいてリストアップし、その概要を把握するためのヒヤリング調査を進めた。本年度は13経営体の調査を行なった。そこで明らかになった企業的果樹農業経営体の経営的特徴として、①その出自は、個別農家からの発展とともに、開発農地での地縁的共同経営、出荷組織の生産への参入がある。②開発のうちでの共同経営を除くと、果樹園の多くは借地である経営が多い、③販売の主体は直販であるが、消費者直販と実需者直販に分かれる、④ジュースなどの果実加工事業、いわゆる6次産業化に取り組んでいる経営が多い、⑤多数の雇用者を抱えているが、その背景には果樹農業の労働集約性とともに、6次産業化による経営の多角化がある、⑥雇用者は比較的若い者の比率が高く、新規参入希望者を積極的に雇用し、その独立を支援している経営もみられる、⑦地域内から果実を買い入れている経営が多い、その要因として、直販型の販売を有利に展開するために、自らが生産していない品目・品種などの品揃えが求められていること、果実加工事業が発展した場合、その原料が自らの生産物だけでは不足してしまうことがある。 農協との関係では、ほとんどの経営が農協共販を主要な流通チャネルにしておらず、密接な関係は持っていない。しかし、多くの経営は何らかの形態で農協と連携・協力関係を保っている。その中で農協共販を基盤として果樹農業での規模拡大が最も進んでいる静岡県三ケ日地区では、農協が支援する形で企業的果樹農業経営が形成されている事例が観察できた。農協との関係が疎遠な場合でも、新規参入者支援などで積極的に地域農業に関わっている経営も目立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
企業的果樹農業経営を対象としたヒヤリング調査は予定を上回る風で実施でき、その経営的特質の概要が把握できた。一方、企業的果樹農業経営に関する統計分析は当初の予定に比べると、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度ヒヤリング調査を実施した企業的果樹農業経営の中から、詳細な経営実態調査が可能な経営を2~3経営選定し、そこでの実態調査により、企業的果樹農業経営の経営管理構造と経営的優位性を分析する。 2015年農業センサスにより、企業的果樹農業経営の形成動向と特徴について、品目や地域性にも留意しながら、分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初ヒヤリング調査を予定していた企業的果樹農業経営の中で日程調整が合わずに、調査を次年度に持ち越した経営があったことと、年度内に2015年農業センサスの集落カードなどが販売されると考えていたが、販売が次年度になったことなどのため
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に調査できなかった企業的果樹農業経営のヒヤリング調査は早急に日程調整を行い、実施する。また次年度は調査対象数を絞り込んで、実態調査を予定しており、そのために、それぞれ複数回の調査を予定しており、その旅費に充てる。また、今年度購入できなかった2015年農業センサス集落カードの購入を検討する。
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