研究課題/領域番号 |
16K07896
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
草苅 仁 神戸大学, 農学研究科, 教授 (40312863)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 食料需要 / 輸入品志向 / 農産物 / 市場開放 / 食料自給率 / 食生活 / 二極化 |
研究実績の概要 |
日本が直面する農産物市場開放の流れは今後も続き,日本の食料自給率はさらに低下することが懸念されている。こうした市場開放の流れが国産食料に対する需要を脅かすものであることに相違はないが,それ以前に,仮に国境措置が現状程度に維持されたとしても,すでに日本の食料需要は輸入品志向へ傾斜する方向に構造が変化している可能性が高い。以上の認識に基づき,①今後に予想される市場開放の進展を待たずとも,現在の日本における食料の需要構造は輸入品志向に傾斜している現状を解明し,②こうした輸入食料に対する傾斜構造のもとで,今後の国産及び輸入食料の需要見通しを明らかにすること,①と②をふまえて,③開放経済体制下における国産食料需要の脆弱性を克服するための対策について,具体的に提言することが本研究の目的である。 研究初年度である平成28年度は,現在の食料需要の構造が輸入品志向に傾斜している可能性を解明するため,概念を整理して研究手法を開発した。具体的には,次の①~③の手順にしたがって作業を進めた。①はじめに,輸入品志向に傾斜している食料需要構造の形成が,日本人の食生活における「世代と世帯の2つの二極化」に起因することを仮説として念頭に置きながら,概念整理を行った。この際,食生活における世代間の二極化とは,若者世代の簡便化・低価格志向とシニア世代の健康・高価格志向との関係であり,また世帯間の二極化とは内食割合の高い二人以上世帯と中食・外食割合の高い単身世帯との関係である。②本研究では,農産物の需要主体として家計と食品産業(外食を含む)を想定する。そのため,①の構造との関係で,家計と食品産業を規定する要因について検討した。③①と②に基づいて分析の枠組みを構築し,「世代と世帯の2つの二極化」を体現した食料需要分析のためのモデルを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の交付申請書における「平成28年度の研究実施計画」では,主に研究手法の開発を挙げている。そのために,次の①~③の手順にしたがって作業を進めることが明記されている。①輸入品志向に傾斜している食料需要の構造について,「世代と世帯による2つの二極化」が重層している状況を仮説として念頭に置き,概念整理を行う。②本研究では農産物の需要主体として家計と食品産業(外食を含む)を想定するため,①の構造との関係で,家計と食品産業を規定する要因について検討する。③①と②に基づいて分析の枠組みを構築し,「世代と世帯の2つの二極化」を体現した食料需要分析のためのモデルを作成する。 「研究実績の概要」に記載したとおり,交付申請書の「平成28年度の研究実施計画」に対してほぼ計画どおりの進捗状況であることから,「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の平成29年度は,28年度に開発した(1)研究手法に基づき,(2)輸入食料に対する傾斜構造のもとで,今後の国産及び輸入食料の需要見通しを明らかにする予定である。そのため,次の①~③の手順にしたがって作業を進める。①現在の日本における食料の需要構造は輸入品志向に傾斜しているとする仮説をふまえて,「世代と世帯による2つの二極化」が一過性の現象ではなく,構造的な変化として捉えるべき事象であるかどうかを確認するための実証分析を行う。②①によって「世代と世帯による2つの二極化」が一過性の現象ではなく,構造的な変化であることが実証できた場合,次に輸入食料に対する傾斜構造のもとで,今後の国産及び輸入食料の需要見通しを明らかにする。 最終年度の平成30年度には,前年度までの結果をふまえて(3)国産食料需要の脆弱性を克服するための対策を提言し,(4)研究成果の取りまとめを行う予定である。前年度までの分析結果を活用して,開放経済体制下における国産食料需要の脆弱性を克服するための対策について,具体的な提言を目指す予定である。
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