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2018 年度 実施状況報告書

放置された財の解消にむけて―山林、農地、家屋を対象とした包括的アプローチ―

研究課題

研究課題/領域番号 16K07898
研究機関鳥取大学

研究代表者

片野 洋平  鳥取大学, 農学部, 准教授 (00407347)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード環境政策 / 社会学 / 法社会学
研究実績の概要

近年、日本全国で、管理がなされないまま放置される山林、耕作が放棄されている農地、居住が確認されない家屋などの問題が顕在化しつつある。これらの問題は、所有者不明土地の問題として着目されているが、筆者は放置された資産は自然環境・社会環境に対して悪影響を与えるという観点から、一貫して環境問題としてとらえ、都市よりも、地域社会における山林、農地、家屋・土地に焦点をあて考察を行ってきた。
2018年度は、特に、不在所有者からの寄付を受け付ける試みをを行ってきた。鳥取県日南町の場合、無償で譲り受けた山林を有効活用し林業振興を図るという視点のほかに、ひとたび地域を離れた者であっても、共同体の一員であるという共同体的な責務に応えるという視点、今後発生する放置資産の所有者探索コストを未然に抑止するという視点、放置された資産による災害発生を未然に防止するという視点、水源涵養など環境保全を図るという視点が含まれている。また、本事業を通じて過疎自治体の存在意義を高めるという副次的な視点も当然ある。
自治体が不在所有者の寄付を受け入れるという試みは全国的にみても新しいものであるが、鳥取県日南町の事例は、現時点での経済性や公益性をやや拡大的に解釈して、共同体的な責務や将来生じるコストをあらかじめ見込むなど、包括的な視点で寄付を受け付けようとする姿勢に特徴がある 。2018(平成30)年10月現在、寄付を希望する不在所有者のうち、試験的に5名程度を選出し、受け入れ条件の整備を行っている 。この5名は、森林組合の会員に対して行われた寄付意向に関する調査の中で、寄付の意向を示した者の内、早急に対応を依頼した者である。
本事業に対しては全国で高く評価され、NHKをはじめメディアへの出演を多数行い、学会でも着目されている。引き続き事業を展開したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

妻の体調不良と子が小さいため、育児などに時間を費やした。研究時間の延長により研究は続けていきたいと考えている。

今後の研究の推進方策

2018年度に残した海外視察など申請書に記述した内容を着実に遂行していきたい。また、論文執筆を積極的に行っていきたい。さらに、本務校が変わったため、鳥取県日南町までの旅費負担が増える。こうした、本務校と研究地が離れることに対する費用に充て研究を遂行していく。

次年度使用額が生じた理由

妻の体調不良と、育児により、予定の時間より多くの時間がかかっている。一年間の延長により予定の研究を進めていきたい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 山林を中心とした過疎地域における放置資産の所有動向比較2018

    • 著者名/発表者名
      片野 洋平
    • 雑誌名

      環境情報科学論文集

      巻: ceis32 ページ: 251~256

    • DOI

      https://doi.org/10.11492/ceispapers.ceis32.0_251

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 地域社会における放置される財の状況とその対策2018

    • 著者名/発表者名
      片野洋平
    • 学会等名
      法社会学会
  • [図書] ソーシャル・キャピタルと社会2018

    • 著者名/発表者名
      佐藤 嘉倫 内一章分を担当
    • 総ページ数
      268
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      4623077756

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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