研究課題/領域番号 |
16K07913
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
山口 道利 龍谷大学, 農学部, 講師 (40709359)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 費用効用分析 / カンピロバクター |
研究実績の概要 |
カンピロバクター汚染による食中毒は、近年わが国ではノロウイルスと並んで発生件数の多い細菌性食中毒である。主要な感染経路は汚染された鶏肉の喫食または鶏肉からの交差汚染であるが、鶏へのワクチン等効果的な防除が存在せず、フードチェーン全体でのコントロールが必要とされる。 本研究では鶏肉のカンピロバクター汚染を対象として、介入措置に要する費用を調査するとともに、カンピロバクターによる食中毒の各症状・転帰に関して「生活の質(Quality of Life, QOL)」を加味した生命年数(Quality Adjusted Life Years, QALY)による評価を行うことを課題とし、本年度は主に後者に取り組む予定であった。 QALY評価の際のQOL評価は通常患者自身がEQ-5Dなどの形式に沿って回答するが、主として急性疾患である食中毒患者にQOL評価を依頼することは困難であり、医師を代理人として調査する前提でQOL調査プロトコルを作成しようとした。しかし、EQ-5DのQOL指標そのものが必ずしも急性疾患に適合的とはいえず、調査そのものを再検討することとしたため、本年度の調査は延期することとなった。 あわせてカンピロバクター制御のための介入措置の費用調査プロトコルを作成する予定であったが、国内で鳥インフルエンザが散発し費用調査への協力を得られる状態にないと判断したことと、同じく鳥インフルエンザ発生地域からの渡航ということもあって海外調査のめどが立たなかったため、これについても平成29年度に延期することとなった。 以上の事情により、これまでのところ本研究の研究実績はない状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
EQ-5DのQOL指標そのものが必ずしも急性疾患に適合的とはいえず、調査そのものを再検討することとしたため、本年度の調査は延期することとなった。 あわせてカンピロバクター制御のための介入措置の費用調査プロトコルを作成する予定であったが、国内で鳥インフルエンザが散発し費用調査への協力を得られる状態にないと判断したことと、同じく鳥インフルエンザ発生地域からの渡航ということもあって海外調査のめどが立たなかったため、これについても平成29年度に延期することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
EQ-5DのQOL指標そのものが必ずしも急性疾患に適合的とはいえず、調査そのものを再検討する必要がある。QALY調査の再検討、立て直しを早急に図り、既存のDALY評価の収集等並行して進められる作業をあわせて進めていく。 周辺諸国の状況を勘案すると、今年度以降も国内での鳥インフルエンザ発生の可能性はないとは言えない状況である。海外調査については、メール調査等も視野に入れながら調査計画を再検討する。国内調査については、できるだけ早く(冬期に入る前に)調査に入れるよう、他の作業との優先順位を入れ替えて進めることを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査及びインターネット調査を延期したため、多額の次年度使用額が発生することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
インターネット調査は引き続き実施の可能性を模索する(ただし、内容については根本的に見直す必要がある)。 海外調査については、メール調査に切り替えることも念頭に置きつつ調整を進めるため、現時点では使用計画が立っていない状況である。 鳥インフルエンザの発生があまりないと思われる時期(夏期)を中心に国内調査を増やすことを検討しており、そこで当初計画の平成29年度使用予定額を超える旅費等を支出する可能性がある。
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