今年度は、1)小麦生産費と畑作経営の収益性の把握、2)小麦を含む畑作に影響を与える制度・政策的条件と経営構造の把握に取り組んだ。 1)については、日本とドイツの畑作経営への実態調査を実施し、両国における小麦の生産費と収益性を把握することとなっていた。特に、生産費については資材の投入量・単価といった原単位まで把握することとなっていた。昨年度に選定し調査を行った日本(北海道十勝地方)とドイツ(ニーダーザクセン州)の畑作経営における調査を引き続き行った。そして、小麦の栽培技術体系を把握するとともに、北海道十勝管内農協およびドイツニーダーザクセン州に位置するThuenen Institutの協力の下、生産資材の単価等についても継続して調査した。また、収益性については、畑作経営への聞き取り調査を行なうとともに関連機関への聞き取り調査を実施した。 2)については、農業団体や小麦関連業界等への聞き取り調査を通して、小麦を含む畑作全体に影響を与える制度・政策や、環境規制などを把握することとなっていた。今年度は、小麦収量に影響を及ぼす小麦品種の開発・普及に関する調査を行った。具体的には、日本とは異なりドイツでは民間企業により小麦育種が行われていることに着目し、日独両国における小麦の品種開発体制、育成者権使用料の回収方法について調査を実施した。ドイツでは、生産者が認証種子を使用する場合だけではなく、自家採種を行った場合にも、育種企業が育成者権使用料を回収できる仕組みを整えていた。
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