研究実績の概要 |
今年度は、昨年度実施した小麦を含む畑作に影響を与える制度・政策的条件に関する調査結果を取りまとめ、公表した。 具体的には、昨年度ドイツで実施した品種開発・種子供給体制に関する調査結果を、別途行った豪州・フランスの調査結果と合わせて、Australasian Agricultural & Resource Economics Societyの63回年次大会でポスター報告(Hisako SEKINE・Zenta NISHIO 'Comparison on Royalty Collection Systems for Wheat in Japan, Australia, France and Germany')、および日本農業経済学会2019年度東京大学大会で個別報告(関根久子「日独豪における小麦の育成者権使用料回収方式の実態と特徴」)を行った。ドイツ・豪州・フランスとも小麦は民間企業により品種開発が行なわれており、生産者が認証種子を使用する場合だけではなく、自家採種を使用した場合にも、育種企業が育成者権使用料を回収できる仕組みを整えていたが、それぞれの国は種子の使用状況によって異なる仕組みを採用していた。 ちょうど研究実施期間中の2018年3月に、日本では主要農作物種子法が廃止され、国は、国家戦略・知財戦略として民間活力を最大限に活用した稲や麦類の品種開発および種子供給体制の構築を目指すこととしたため、民間企業により小麦の品種開発が行なわれているドイツをはじめとした他の国の状況を報告することは、時宜を得た成果の公表となった。
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