カウフマンのNKモデルを援用した農商工連携関係構築モデルの策定に取り組んだ。カウフマンのモデルでは,主体Aと主体Bが連携(協力)する時,主体Aと主体Bに重み付けをしてその効用を数値化する。カウフマンのモデルでは,パラメーターが恣意的に設定されているが,本研究で策定するモデルでは,実際のデータに基づいたパラメーターを与える方法を模索し,いくつかのモデルのプロトタイプを作って検討した。結果,独自の手法で実際のデータに基づいて主体にパラメーターを与えることに成功したが,カウフマンのNKモデルでは,農商工連携の深化に伴う経済効果の増大をうまく説明できなかった。そこで,農商工連携構造をネットワークで捉え,農商工連携で開発した商品は二者間連携の経済効果の積み重ねであるというモデルを策定した。カウフマンのNKモデルと比較して,本モデルは農商工連携で生じる付加価値と相乗効果をうまく説明することができる。 この結果をもとに,シミュレーション・ソフト:6次産業化シミュレーター(通称LASTS:The simulator to be Linked Agriculture to Secondary and Tertiary Sectors)を策定した。LASTSは農商工連携・6次産業化の取り組みの付加価値を数値化(パラメーター化)し,非常に高い精度で連携関係を変えた場合の経済効果をシミュレーションできるものである。 最終年度には,本研究により,学会報告1件,学会誌賞1件,資料集報告1件,シミュレーションソフトのパンフレット作成1件,シミュレーションソフトの社会実装3件の成果を出した。
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