研究課題/領域番号 |
16K07918
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
松本 浩一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター 農業経営研究領域, グループ長 (10355472)
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研究分担者 |
佐藤 正衛 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター 農業経営研究領域, 上級研究員 (10355258)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 農業情報システム / 経営管理 / 農業経営モデル / 経営シミュレーション / データ連携 / 圃場管理システム |
研究実績の概要 |
雇用型農業経営における情報に対する経営行動の特性の解明に向けて、土地利用型の農業生産法人に対して、日常的な経営管理等の実態調査を実施し、経営者および作業責任者から作業者への指示状況や、作業スケジュールの意思決定過程における情報利用の実態を観察した。 また、圃場管理システムを導入して作業管理を実施する農業生産法人に対して、利用している圃場管理システムに収集・蓄積される情報の内容を確認するとともに、その情報を作付計画等の経営戦略策定の意思決定で活用するための方策を試案した。その結果、圃場管理システムに収集・蓄積されたデータを解析することで、経営改善が図れる情報を提供することが可能になる点を示せた。 これを発展させて、多種多様な形式で、リアルタイムに収集されるデータを含むビッグデータを農業経営で有効活用するには、経営者が、そのビッグデータに対するアクセス手段と意思決定に容易に利用可能な形式に情報処理する方法が必要になると考え、それを実現するためのAPI(Application Programming Interface)によるソフトウェアのプロトタイプを構築した。このプロトタイプでは、CSV、 MS-Excel、 XML等の多様な形式のデータの取得が可能となり、オブジェクト指向の観点に基づいて、各経営資源クラス、それら経営資源を組合せた生産活動を表す農作業クラスとして取得データを扱い、経営クラスに統合化することが可能となる。このプロトタイプについて数値実験を実施することで、データ連携が可能であることを確認することで、多様な形式のデータをリアルタイムで取得し、経営の意思決定場面で利用する仕組みとして有効となることを検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
農業経営ビッグデータの解析手法の構築に向けては、APIを利用したソフトフェアを具体的に構築しながら、その手法の有効性を踏まえた検証が進められており、当初計画よりも進捗している。また、雇用型農業経営における情報に対する経営行動の特性の解明については、日常の経営管理場面や経営戦略策定場面で圃場管理システム等を積極的に活用している農業生産法人の状況を把握するとともに、その蓄積データを解析することで経営戦略策定場面での情報利用の可能性を示すことで順調に進捗している。 しかし、情報利用に基づく意思決定行動の特性については、調査事例に限りがあったために十分な解明にはいたっていない。
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今後の研究の推進方策 |
情報利用に基づく意思決定行動の特性については調査事例を増やすことで、経営管理等の意思決定場面で利用されている農業経営データの内容およびそれらの活用実態を収集し、その特性を明らかにする。それを踏まえて、圃場管理システムに蓄積されている農業経営ビッグデータと意思決定行動で必要なデータとの関係性を明らかにし、それらデータの有効活用に向けて、必要なデータの過不足状況、データの集計・整理方法、データの抽出方法等に関するフレームワークを構築する。 また、雇用型農業経営者が日常の経営管理および経営戦略策定のそれぞれの意思決定において必要とする情報を、圃場管理システムが持つ農業経営ビッグデータから抽出するための解析手法を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
情報利用に基づく意思決定行動の特性の解明に向けた農業生産法人への調査に関して、調査先との日程調整がつかなかったため、当初計画に沿った調査が十分に実施できずに発生した残額である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額131,859円は、情報利用に基づく意思決定行動の特性の解明に向けた調査旅費等、研究計画遂行のために使用する。
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