研究課題
本研究は、選択と集中による効率的経営と規模拡大を通じた輸出志向型の農業工業化および産官学連携による関連産業・支援産業のクラスター化で特徴づけられるオランダ農業の実態を明らかにすることで、同モデルを日本に適用しようとする近年の政策言説を批判的に検証するとともに、同国で実際に展開される多様なオルタナティブ農業の可能性を明らかにすることで、オランダ農業モデルの重層性を示し、結果的に日本農業の将来方向性と政策論に示唆を与えることを目的としている。2018年度は、第一に、前年度までに実施した文献調査および現地調査(伝統的果樹地帯および大規模施設園芸地帯のクラスター事業、福祉農業の諸事例)の成果を整理・分析するとともに、地域食農ガバナンスの構築に取り組んでいるエーデ市、アーネム市、および両者を含むヘルターランド州でそれぞれ政策担当者にヒアリング調査を行った。第二に、主流のオランダ農業モデルを特徴づけるフードバレー事業とその拠点であるワーヘニンゲン大学の教育研究活動の歴史的経緯を内部資料等に依拠して整理しながら、オランダ国内・ワーヘニンゲン大学内でさまざまな意見の対立が今日に至るまで見られることを明らかにした。第三に、以上の成果を大学紀要に38頁に及ぶ大部の論文にまとめ発表した。最後に第四に、本研究の発展的継続を企図し、2019年度以降の研究課題として「オランダにおける地域食農政策の展開と食料市民の形成に関する研究」を設定、その準備作業としてワーヘニンゲン大学から研究インターンとして受け入れた修士学生とともに、アーネム周辺およびロッテルダム周辺の都市農業や地域食農ガバナンスに関連した取り組み事例の情報を、自治体資料およびネット情報をもとに収集した。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
経済論叢
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AGST Working Paper Series
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農業と経済
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Risk and Food Safety in China and Japan. Theoretical Perspectives and Empirical Insights (L. Augustin-Jean and J-P. Poulain eds.)
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