研究課題/領域番号 |
16K07942
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長野 宇規 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (70462207)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リモートセンシング / 農用地分類 / SAR / 水土里ネット / 毎筆調査 |
研究実績の概要 |
平成29年度は従来の兵庫県篠山市(以下篠山)と新潟県上越市吉川土地改良区(以下吉川)に加え,兵庫県養父市(以下養父)の耕区群を調査地とした.ドローンの有効利用により土地利用調査圃場数も昨年と比較して大幅に増加した.調査圃場数は篠山が1589(水稲:1059、大豆:407、耕作放棄:123),吉川が1813(水稲:1331、大豆:143、耕作放棄:339),養父が2383(水稲:1369,大豆:5,耕作放棄:1009)である. 主たる研究内容として20a以下の農地区画の判別性能向上のため,高解像度Lバンド合成開口レーダ(SAR)画像Alos-2を新たに導入し,中解像度CバンドSARのSentinel-1との性能比較を行った. 水田においてSentinel-1は15a以上の農地に対し高い判別性能を持つ一方,Alos-2は10a以上の農地に対し高い判別性能を持っていた.一方積雪が多く湛水前でも土壌が湿潤な吉川では,土壌水分への高い感度により後方散乱値が低くなる傾向が見られた. Sentinel-1による大豆畑の観測は,篠山,吉川において1月1日からの積算100日から125日にかけて後方散乱係数が低下し,その後200日付近に向けて増加傾向を示した.5-10aの農地でも大きな農地と同様の特徴を捕捉していた.一方Alos-2では150日に後方散乱係数は最低値を取り,その後270日付近で最大値を取るまで漸増した.0-5aの農地も比較的良好に捕捉していた. Sentinel-1,Alos-2いずれも耕作放棄地の後方散乱係数は大豆畑と類似した推移を示し,両者の判別は極めて困難であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査対象地を増加し,現地調査は順調に進み,水田,大豆,耕作放棄地それぞれに十分量の検証データを取得するに至った.計画通りLバンドSAR(ALOS-2)の利用を開始したが,年度末にかけてデータサーバーが利用不可能となり,H29年分のAlos-2データが未解析である.上記の通り,H28年度のデータを解析した限りにおいては,Alos-2の利用により,15a以下の区画での水田判別性能の向上は期待できるが,大豆と耕作放棄地の判別にはあまり有効ではなかった.
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今後の研究の推進方策 |
H29年分の未解析ALOS-2データはデータサーバーの復旧する平成30年6月29日以降解析に取り組む.引き続き最終年度も現地調査を行う.水田については判別精度が既に高いので,兵庫県では県レベルでの解析を行い,自治体との調査連携を進める.新潟県でも同様の交渉を進める.平成30年のデータ解析は12月までに全て終了するよう努める.最終年度は大豆と耕作放棄地の判別特徴の検討,機械学習を用いた判別性能の向上に注力する.
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次年度使用額が生じた理由 |
計算機器の購入を延期した.また解析対象地域が限定的だったため謝金雇用が発生しなかった.平成30年度の早い時点で計算機の購入を進める.平成30年度は解析対象が広域化するため,謝金雇用により作業の迅速化を計る.平成30年度単体の支出計画には当初と大きな変化はない.
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