研究課題/領域番号 |
16K07945
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
九鬼 康彰 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (60303872)
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研究分担者 |
内川 義行 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (20324238)
田村 孝浩 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (20341729)
中島 正裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80436675)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 住民主導 / 地区計画 / 実施 / 意識共有 / PDS / キャリア教育 |
研究実績の概要 |
九鬼は昨年度に引き続き島根県邑南町の夢づくりプラン事業を対象に,計画連携論の視点からプラン策定地区の実施状況とその背景理由を考察した。4地区の実施状況を聞き取りから把握した結果,従前からの取組を計画に組み入れた場合は実施されやすいこと,実施ではなく問題意識の共有を目的に計画に組み入れた項目があることなどが得られ,住民主導型ならではの特徴が見出せた。 また田村は行政にとっての計画連携論の視点で,過去に宮城県内で策定された集落構想計画の経緯を聞き取るとともに,当該計画を策定した市町村担当者にも聞き取りを行った。その結果,策定済みの計画は平成12年から22年の間に21地区あることが得られた。また市町村担当者は計画が圃場整備推進の前提としての位置づけにあることを掌握しつつ,策定が①地域住民が地域に潜在・顕在する課題を認識する機会となる,②他事業の適用時に地域住民の合意形成の足がかりとなる,といった副次的効果を認識していたことも得られた。 一方中島は滋賀県甲良町において,水環境整備により多面的機能が増進された地域内農業用水系を『農業水利環境ストック』とし,人口減少下にも関わらずそれが継続的に維持管理される要因を社会ネットワーク分析により考察した。その結果,①自治会活動を基層としたPDSプロセスによってストック全体の維持管理が達成され,②このプロセスにおける組織間調整が,重複構成員と集落行事の開催によって図られることが要因であることを突き止めた。つまり計画管理がそれを可能にしていることが示唆された。 さらに内川は長野県南箕輪村を対象に,学校における『キャリア教育』の実態を調べた結果,農村地域でも内容は金銭労働に偏重しており,積極的に地域の次世代を育成するとの観点はかけ声倒れの状況にあった。今後は農村の特徴を活かした集落維持に必要なムラ仕事やイエ仕事を取り上げる重要性を指摘した。
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