研究課題/領域番号 |
16K07947
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
木全 卓 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60254439)
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研究分担者 |
小林 範之 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (00314972)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 変形性粒子 / 混合土 / 圧縮特性 / モデル化 |
研究実績の概要 |
本研究では,廃棄発泡プラスチックや廃タイヤなどの廃材を地盤材料として有効にリサイクルするため,骨格中に変形性を有する粒子を含む混合土の圧縮メカニズムを解明し,これをモデル化してリサイクル地盤材料の有効利用に貢献することを目的としている。2年目の本年度は,前年度に引き続いてチップ状試料を用いた混合体模型の一次元圧縮試験を行い,変形性粒子を含む混合土の基本的な圧縮特性を把握するとともに,圧縮量を幾何学的に分析することにより計算して予測することを試みた。また,DEM解析によるシミュレーションも進め,混合体の一次元圧縮挙動を再現することで圧縮特性がどこまで評価可能かを検討した。 一次元圧縮試験では,変形性粒子を含む混合土特有の圧縮成分に着目するため,前年度と同様に粒子の移動が生じない最密状態での一次元圧縮試験を実施して検討を進めた。実験においては,これまでに得られている実験結果の妥当性を再確認するとともに,各条件において最も妥当と判断できる結果の選定を行った。そして,それらの実験結果を目標値とし,各圧縮成分の算出方法を検討した。具体的には,チップの形状である円柱体が種々のパターンで接触して圧縮される状況を幾何学的に計算することとしたが,このような方法でも概ね実験結果が予測可能であることがわかった。一方,DEM解析によるシミュレーションについては,実験結果から推定したパラメータの設定で混合体の圧縮挙動がどの程度表現できるのかを検討した。その結果,まだ課題はあるが,混合比などの条件の違いをうまく傾向として表現できる可能性が見出せた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画では,平成29年度は二次元状態における圧縮特性の検討とそのモデル化を目指していた。これに対して今年度は,粒子の移動がない最密状態での一次元圧縮という限定された条件の範囲ではあるが,三次元状態における圧縮特性の検討とそのモデル化を試み,概ね実験結果を予測できるような計算手法を提案することができた。これは,当初計画では平成30年度に予定していた研究内容に対する成果の一部でもあり,研究期間全体で考えれば概ね順調に進展していると判断できるため。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の研究目的や研究実施計画に大きな変更はなく,今後もこれに準じて研究を推進するつもりである。平成30年度の研究実施計画の内容は三次元状態における圧縮特性の検討とそのモデル化であるが,今年度の研究でチップ状試料の一次元圧縮については粒子の三次元的形状を考慮した圧縮量の算出方法を提案しているなど,既に検討を始めて結果が得られつつある部分もある。従って,これをベースに実験や解析を発展させて検討を進めていくが,これまであまり検討しなかった粒子の移動に起因する体積変化量の扱いがポイントになると考えられるため,新たな条件での実験やDEM解析を行いながら検討していくつもりである。そして,最終年度である平成31年度には変形性粒子を含む混合土の圧縮モデルを構築し,研究のとりまとめを行うつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:本年度は,研究代表者に約30万円,研究分担者に約27万円の次年度使用額が生じた。研究代表者については,前年度に出席を取りやめた国際会議(インド)の費用がそのまま繰り越されたもので,旅費が中心である。研究分担者については,前年度に購入を見送ったPC等の購入費用の一部が繰り越されたもので,物品費が中心である。 使用計画:研究代表者は,平成28年度に開催されたインドでの国際会議に出席できなかった代わりに,平成30年に韓国で開催される国際会議に論文を投稿した結果,これが受理された。従って,繰り越された金額はそのままこの国際会議のための費用にまわすつもりである。一方,研究分担者については,前年度に購入を検討していたPCを予定どおり購入した残りの金額であり,平成30年度にPCの周辺機器等の購入に充てる予定である。
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