本研究では,生産性が低い客土用山土に対する木質バイオ炭と牛ふん堆肥の混合施用が土壌理化学性に及ぼす影響について検討した. まず,客土用山土2 kgに対して,約700℃の温度で生成された間伐材由来のバイオ炭を4種類の混入割合(0.0,0.5,2.5,5.0%(w/w)),牛ふん堆肥を2.5%(w/w)混入・未混入の計8処理区を3連ずつの合計24個の試料を作成した.その後,それぞれの土壌に水分を加え,飽和体積含水率の約70%に調整した後に密閉し,25℃の恒温チャンバー内に静置し,培養試験を開始した.2週間に1回,減った分の水分量を補う操作を行い,含水率を一定に維持した.180日間培養した後,密閉容器から2つの不攪乱土壌(100ccコア)と攪乱土壌を採取し,土壌の物理性(乾燥密度,保水性,透水性,団粒径分布),化学性(全炭素,全窒素,陽イオン交換容量,pH,EC等)を測定した. 客土用山土のCECは2.6 cmolc/kgと非常に小さかったため,バイオ炭・堆肥の施用によりCECは増加した.特に,堆肥施用した場合にバイオ炭施用量の増加に伴うCECの増加割合が大きかったが大きかった.バイオ炭の施用量とCECの関係を回帰した結果,堆肥施用した場合の方が増加の傾きが僅かに大きい結果となった.この結果から,混合施用した場合の方が単独施用よりもCECを増加させる効果が高い可能性が示唆された. 客土用山土の全炭素量は0.1%と非常に小さかったため,バイオ炭の施用量増加と共に全炭素含量は比例的に増加した.また,増加の傾きは,堆肥施用の有無で大きく違わなかった.この結果から,客土用山土においては,バイオ炭の施用量の増加は,堆肥由来の炭素の安定化にはあまり寄与しない可能性が示唆された.
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