研究課題/領域番号 |
16K07959
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
槐島 芳徳 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10253808)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 手摘み収穫機構 / 適期判断システム |
研究実績の概要 |
本研究では,茶の「手摘み収穫機構」と称するハードウェアの開発,および「適期判断システム」と称するソフトウェアの開発を遂行している.本年度は,4月~8月の茶葉収穫期間内に基礎データを取得することができなかったことから,上述したハードウェアとソフトウェアの開発環境の整備を行った.手摘み収穫機構が確実に茶葉を収穫できることを確認する基礎実験を来年度の茶葉収穫期に実施するため,今年度は実験装置構成機器の選定と購入と接続部品等を製作した.本装置の心臓部は,指の形状と物理性を模倣した部品である.これを製作するために,指の立体形状のスキャンデータとそのデータをシームレスに出力することができる3Dプリンタ(Afinia製,H800)と3Dスキャナ(同社製,ES-360)を選定・導入し,両機で指形状のスキャンと出力が満足する精度で行えることを確認した.さらに3Dプリンタでは,前述の実験装置を構成する電動アクチュエータ(CKD製,ERL2-60E06-30BF-R1A2)に前述の部品や荷重変換器(東京測器研究所製,TCLZ-NA50NA)を組み込む接続部品の製作ができる.このため3次元CADとしてSolidworks 2015 x64 Edition(Solidworks)を導入して接続部品を作図,3Dプリンタで出力した.新年度では,不足の部品や計測機器等を製作・購入して茶葉収穫期に実験を実施する予定である.一方「適期判断システム」では,茶園を撮影した画像から色情報を取得することで茶葉の収穫期を判断するソフトウェアを開発し,スマートフォン,ウェアラブルグラスおよびカメラ搭載のドローンでの活用を検討する.今年度は,ソフトウェア開発の遅延をカバーするために,既存の技術計算言語MatlabにSimulinkを導入し,その使用方法の習得を行った.現在,ソフトウェアを開発中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始が11月であったことから当初の研究計画より大幅に遅れると予想していた.しかし手摘み収穫機構では,3Dプリンタの導入と3次元CADの導入で,これまで外部委託で行っていた接続部品の製作が行えるようになり,コストの削減と部品作成速度を向上させることができたことから上述の評価とした.また適期判断システムにおいても,ソフトウェアを開発する技術計算言語にSimulinkを追加・導入したことにより,ソフトウェアが可視化(図解)することが可能となった.これより,これまで研究代表者のみで行っていたソフトウェア開発状況を研究室の学生と共有することができ,ソフトウェア開発のアイデアの提案が容易となり,ソフトウェア開発の効率化が行えたことから,上述の評価とした.
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今後の研究の推進方策 |
手摘み収穫機構では, 1.茶葉収穫期における基礎実験の実施,2.性別および年齢別指形状と物理性の計測,3.2の計測結果に基づいた部品の試作,4.連続的に収穫するシリコン扱ぎ胴設計と3Dプリンタでの試作の小課題について取り組む.特に問題が生じると予測されるのが小課題4である.シリコン扱ぎ胴では,茶芽の下部の茎を確実に導入する先端形状の選定が重要なカギとなることから,3次元CADにおける設計能力の向上に努める. 一方,適期判断システムでは,5.アンドロイドデバイス(スマートフォン,ウェアラブルグラス)への適期判断ソフトウェアの開発・導入,6.小課題5の性能評価,7.ドローンの選定・導入,8.ドローン用の適期判断ソフトウェアの開発・導入の小課題について取り組む.特にカギとなるのが課題5と8のソフトウェアの開発・導入である.適期判断ソフトウェアでは,細かな条件設定が必要となることから開発言語のMatlab + SimulinkおよびAndroid Studioの技術情報の収集に努めて上述の課題を解決するよう努力する.
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