研究課題/領域番号 |
16K07961
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
鹿内 健志 琉球大学, 農学部, 准教授 (20264476)
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研究分担者 |
平井 康丸 九州大学, 農学研究院, 准教授 (10432949)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 農作業情報 / サトウキビ / 地理情報システム / GPS / 農作業効率 / 収穫機 |
研究実績の概要 |
分散する農地を集積した農家の農作業計画立案を支援する農作業最適化システムを開発するため,収穫機と搬出機などの連携作業を必要とする機械の動きを詳細に調査した。サトウキビ収穫作業を対象とし,収穫作業時のデータを実際の圃場で記録し,刈刃を駆動して刈取を行っている作業時間と畝移動・旋回・収納袋取り付けなど補助的な作業時間を区分して精密な作業分析を行った。用いたデータはGPSによる走行軌跡で,サトウキビ収穫機と搬出機の両機の連携する作業内容の分析を目的とした。大・中型収穫機は搬出機が収穫機と伴走する形態の収穫作業方式で搬出機が満杯になった際に作業は中断する。一方,小型収穫機では機体後部に搭載した網袋に収穫茎を積み込み網袋が満杯になれば,圃場内に網袋を置いて新しい網袋を受けとる収穫作業方式で,搬出機から新しい網袋の補給が遅れると作業が中断する。GPSデータから収穫作業と畝移動・旋回・収納袋取り付けなど補助的な作業内容を区分することが可能なことがわかった。この方法により大・中型収穫機の作業能率を求めた。 作業能率の分析の結果、圃場作業量は小型で0.07ha/h(一方向刈)および0.11ha/h(往復刈)、中型で0.13ha/h(一方向刈)および0.20ha/h(往復刈)であった。有効作業量は小型で0.26ha/h(一方向刈)および0.29ha/h(往復刈)、中型で0.50 ha/h(一方向刈)および0.53 ha/h(往復刈)となった。有効作業効率は小型で0.28(一方向刈)および0.37(往復刈)、中型で0.27(一方向刈)および0.38(往復刈)であった。 圃場作業量および有効作業量とも、中型収穫機は小型のほぼ二倍であり、時間当たりの収穫量は、小型で3.88t/h、中型で4.60t/hであった。一方、有効作業効率には小型と中型の差異はほとんどないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GPSによる走行軌跡を用いて,収穫機と搬出機の軌跡や相対位置の関係から連携作業の内容を分析し,作業内容を分類する手法は予定通りほぼ確立された。また,操縦キャビンから作業時の圃場の画像を記録し,大量の画像データについて収集を行い,現在,これらのデータの解析を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
GPS軌跡を用いた作業の解析結果から,サトウキビ収穫作業の連携作業時の収穫機と搬出機の連携作業モデルを構築する。圃場形状,収穫量,機械性能等をパラメータとし,搬出機の台数を増やした場合の作業能率や面積や形状が異なる圃場で連携作業での作業効率の変化などをシミュレーション可能なモデルを検討する。そのためにも,実際の圃場での調査を継続しながら,GPSデータから圃場形状や圃場面積をより正確に把握する方法を検討する。また,操縦キャビンからの作業時の圃場の画像の記録の活用を検討する。 その上で,分散する圃場で多様な圃場条件に対応した農作業モデルを検討し,柔軟に計算条件を変更し,かつ,シミュレーション結果が現場で不自然な作業順序になる解が生じ無いような数理モデルやアルゴリズムを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
GPSの軌跡を用いた農作業データ解析の際,現地での立ち会い調査を実施する計画であったが,航空機の確保や現場との日程調整がうまく進まず,調査ができなく旅費と人件費の繰り越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は農作業データ収集の際の現地立ち会い調査のほか,現地での生産者等への聞き取り調査を行い,シミュレーションモデル開発のためのデータ収集を行う。
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