沖縄県本島の生産法人等では,小規模な圃場を集積し規模拡大化を進める必要がある。その場合,圃場が分散しているので,分散圃場での最適な農作業計画立案を支援する農作業最適化システムが必要である。特に経営規模が小さく,また,圃場整備率が低い地域での圃場条件に対応した農作業モデルの構築を行うため沖縄県本島南部地域を対象として,小規模な圃場での作業に適した様々な小型農作業機による作業能率の調査を行った。まず,収穫作業については,対象とする地域で現在使われているサトウキビ収穫機より小型かつ高性能な収穫機が必要と考えられる。沖縄県で稼働している最も小型の36kWの収穫機にGNSSと車載カメラを取り付け,作業中の位置と画像情報を収集し収穫機の作業実態を調査した。植付作業については,牽引型作業機であるビレットプランターについてハーベスターで収穫された苗の供給から苗の植付作業までの一連の作業の性能等を調査し,従来型の全茎式植え付け機との比較を行った。培土等の管理作業については,従来,PTO駆動型作業機の利用が多いが,作業能率や燃料コストの点から牽引型作業機を活用することとしその性能等を調査した。これらの結果より,対象地域における一連作業の機械化計画および機械化体系について考察し,沖縄県本島の生産法人等で経済的な観点から最適な機械化作業体系についてある程度の指針が得られた。さらに,生育状況が作業能率に与える影響を考察するため,空撮画像からサトウキビの三次元モデル化を行いサトウキビの茎や個々の枝葉が空間を立体的に占めている空間部分を調査した。その結果,サトウキビの成長状態の把握が可能となり収量の予測などへの展開が確認できた。増産,低コスト化などより詳細な検討が必要ではあるが,生育条件に合わせた小規模な圃場での作業を進めるための小型の作業機械の作業体系化の構築の可能性があることが明らかとなった。
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