畑作の防除作業はブームスプレーヤを利用した液剤散布が主流であり,作業能率の向上に伴い散布幅はトラクタ直装式で20m,けん引や自走式では30mを超える機種が利用されている。しかし,ブームの長大化に伴って走行時の機体の挙動やほ場の凹凸による散布高さの変動が世界的にも問題になっている。欧米ではブームに超音波センサを取り付けてブーム高さを制御する機種が一部市販化されている。そこで,本研究はブームから下方の作物までの高さを非接触で計測するために新たにPSD(光位置検出素子)を利用した散布高さ検出モジュールを開発することを目的とした。 最終年度は,3個のPSDと組み込み用マイコンで構成される5組の散布高さ検出モジュールを試作のブーム高さ自動制御装置に取り付け,トラクタ直装式スプレーヤのブーム高さの自動制御を行った。また,ロボットトラクタを供試し,両者を電気的に連携させた無人防除作業システムを開発した。ロボットトラクタはバレイショほ場で無人走行を行い,枕地では自動的に一時停止する。スプレーヤ側では停止信号を受信してブームの自動開閉,散布のオンオフおよび散布作業中のブーム高さ制御等を全て相互に連携して無人で作業を行えることを確認した。 以上のように,開発したPSD散布高さ検出モジュールはスプレーヤのブーム高さを計測するセンサとして十分な性能を有する。また,ロボットトラクタと連携したブームの自動高さ制御を含めた無人防除作業システムへの発展も大いに期待されることを実証した。
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