研究課題
三元交雑種の肥育後期雌豚を用いて、暑熱環境下での選抜により、暑熱耐性が極端に高い個体5頭を 高暑熱耐性群として、それが極端に低い個体5頭を低暑熱耐性群として作出した。このような作 出のために、各雌豚の肥育後期の体重を1週間毎に測定し、各個体の適温環境下期間(5月中旬~5月下旬)における1週間あたりの適温下増体量、暑熱環境下期間(7月中旬~8月上旬)の各1週間における暑熱下増体量を算出した。それらの暑熱下増体量と適温下増体量の差により、各雌豚の肥育後期の暑熱耐性を暑熱下期間の1週間毎に算定し、当耐性にばらつきがみられ始める時点で、高低暑熱耐性群を選抜した。さらに、その三元交雑種の肥育後期雌豚5頭を、適温環境下の対照群として作出した。3個体群の作出に あたって、血縁関係のない個体を用いた。高低暑熱耐性群については選抜時に、対照群については高低暑熱耐性群とほぼ同齢になる時期に、最長筋を採取した。これらの 3 個体群の最長筋からトータル RNA を抽出し、リアルタイムPCRにより各個体のFGF21の発現量を解析した。このような解析により、FGF21が、低暑熱耐性群でのみ発現増加していることを明らかにした。こうして、FGF21が、ブタ暑熱耐性の低下と関連する、暑熱応答性の発現増加を示すことを確認した。上述のように作出した個体と発現プロファイリングに用いた個体を併せた高低暑熱耐性群のの最長筋から、ゲノムDNAを抽出した。また、FGF21のプロモーター領域の約5kb、全長遺伝子領域の約3kb、3’隣接領域の約2kbを増幅するためのプライマーを設計した。このようなゲノムDNAとプライマーを用いて各個体でのPCRダイレクトシーケンスを行った。
1: 当初の計画以上に進展している
当初予定していた計画どおり、遺伝子発現プロファイリングに用いた3個体群と同様な個体群を新規に作出し、ブタ暑熱耐性の低下と関連する、FGF21の暑熱応答性の発現増加を確認することができた。さらに、FGF21の暑熱応答性の発現増加と関連するアリルをもつDN多型を検出するためのダイレクトシーケンスを行うことができた。
ダイレクトシーケンスの結果に基づき、FGF21の暑熱応答性の発現増加と関連するアリルをもつDNA多型を検出し、検出したDNA多型のタイピング(遺伝子型判定)法を確立する。さらに、検出したDNA多型から、ブタ暑熱耐性の低下と関連するアリルをもつDNA多型を選出する。同様に、ブタ暑熱耐性の低下と関連するハプロタイプをもつDNA多型群を選出する。このような解析を行うことにより、選出したDNA多型(群)のブタ暑熱耐性に対する効果を確認し、その効果が大きいDNA多 型(群)を、当耐性と関連する分子マーカーとして同定していくこととする。
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