これまでの研究で、FGF21をブタ増体に影響する暑熱耐性と関連する原因遺伝子候補として同定していた。本研究で、高暑熱耐性群と低暑熱耐性群との間で遺伝子型が異なる3つのFGF21多型を検出した。そのうち、プロモーター領域に存在し、転写開始点からより近い、転写開始点から-2466 に位置する多型を暑熱耐性に関連する多型候補として選抜した。-2466多型を含む302bpの領域をPCRで増幅した後、制限酵素Bcc1を用いたDNA切断を行うというPCR-RFLPによる遺伝子型判別法を確立した。暑熱耐性について2014年と2016年のブタサンプルで比較を行った結果、日付、温度、THIの3つの基準による暑熱期間のいずれを用いても、2016年のブタサンプルで暑熱耐性は高いという傾向が見られた。暑熱耐性の分散値を比較した結果、2014年では日付による基準では0.0363、温度による基準では0.0336、THIによる基準では0.0306となった。2016年では日付による基準では0.0400、温度による基準では0.0466、THIによる基準では0.0470を示した。いずれの基準でも分散値は2014年と比べ2016年で大きくなる傾向が見られ、暑熱耐性を評価するにあたり2016年のブタサンプルがより適していることが示された。2016年のブタ毛根サンプルを用いてタイピングおよび相関解析を行ったが、FGF21多型と暑熱耐性の表現型の間に相関は認められなかった。 サンプル数が少ない可能性があり、タイピングの際、GG型を含むより多くの個体のサンプルが得られれば、暑熱耐性との関連がみられる可能性がある。また、FGF21がブタ増体に影響する暑熱耐性の原因遺伝子ではなく、より上流の遺伝子が原因遺伝子である可能性もある。
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