研究課題
経済協力開発機構(OECD)は鳥類を指標にした生態系への影響に関するテストガイドラインの試験法として複数の種の使用を規定しており,ウズラ(ニホンウズラ,Coturnix japonica)とともにコリンウズラ(ボブホワイト,Colinus virginianus)の使用が推奨されている。そこで新旧両世界のウズラ類,すなわちウズラおよびコリンウズラを広く実験動物として活用できるようにするための基礎的知見を得るために以下の研究を実施した。(1)コリンウズラ小腸におけるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)含有細胞および神経の分布を免疫組織化学的に解析した。GLP-1免疫反応陽性細胞は小腸全域に観察され,その細胞はニワトリの報告同様,雌雄とも回腸遠位部で高濃度に分布し,陰窩や絨毛基底部に多く,絨毛頂端部は稀であった(信州大学平松浩二教授らとの共同研究)。(2)ウズラの始原生殖細胞に特異的に発現するDDX4およびDAZL遺伝子の発現および分子解析を行った。cDNAクローニングでは雌雄間におけるDDX4遺伝子の塩基配列に相違は認められなかったが,DAZL遺伝子においては雌雄間で塩基サイズに約100 bpの相違が認められた。また生殖腺におけるDDX4およびDAZLタンパク質の免疫組織化学的解析では両タンパク質の発現にも雌雄差は認められなかったが,ウェスタンブロッティング解析では、両蛋白質の分子サイズに雌雄間で約10 kDaの相違が認められた。以上のことから、両タンパク質は,ウズラ始原生殖細胞の雌雄分化に寄与する可能性が示唆された。さらにウズラの生殖腺に発現するDAZLには2種類のフォームが存在し,エクソン10を持つフォームがRNAの翻訳を調整している可能性が高いことが示唆された。(北海道大学水島秀成助教らとの共同研究)。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件) 備考 (2件)
Scientific Reports
巻: 9 ページ: -
10.1038/s41598-019-52946-4
http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/agriculture/lab/ono_kagami/hasseiken.htm
https://www.shinshu-u.ac.jp/guidance/publication/summary/2019/agri-research/html5.html#page=15