研究実績の概要 |
2つのGHR異常ニワトリをGSP系統に戻し交配することによりコンジェニック系統を作出した(15世代の戻し交配)。この2系統は肝臓IGF-ImRNA合成に関わるGHR細胞内情報伝達が異なる事がわかっている。すなわち、JAK2-STAT5のリン酸化疎外系統とSTAT5のみのリン酸化疎外である。GTT, ITTを行った結果、インスリン感受性はSTAT5のみのリン酸化疎外系統の方が強い事がわかった。すなわち、GHR細胞内ドメインには様々な情報伝達物質の結合が予想され、それらが複雑に働くことで様々な生理作用の調整を行なっていると考えられる。肝臓重量は両GHR変異ニワトリで減少するものの体重比ではGHR正常ニワトリとの差は見られない。しかしながら生体内でのGH依存的なIGF-I産生の主役であり、糖の貯蔵器官として重要な組織であることから肝臓でのGHに依存的に合成されるmRNAの同定が必要である。網羅的にその発現が変化する候補mRNAをいくつか同定した。同定した遺伝子にはGST、PLG、GLG-1、cEST159o8、DDX5、FGB、2AB56、CALM2、C1S、CYP3A37、COMT mRNAなど興味深い遺伝子が見られた。今後インスリン抵抗性へ関与についてい詳細を検討する必要がある。これらの遺伝子の働きを解明することはインスリン抵抗性に関わるGH作用を解明する一助になるとともにGHの多様な作用の解明に資するものである。
|