研究実績の概要 |
本研究はウシ筋肉内脂肪細胞分化における揮発性脂肪酸の影響を明らかにすることを目的としている。平成28年度は揮発性脂肪酸の受容体であるG protein-coupled receptor (GPCR) 41およびGPCR 43遺伝子発現に着目し研究を推進した。しかしながら、それら発現量が少なくその動態を明らかにすることは難しいと判断した。これは、揮発性脂肪酸は受容体を介したシグナル伝達ではなく輸送体などによる取り込みにより、細胞内でその役割を担っている可能性を示唆した。よって本年度は研究計画を変更し、揮発性脂肪酸で牛ルーメン内において多く産生される酢酸とプロピオン酸(0, 5, 10, 25, 50 mM)が分化誘導後初期(0, 1, 3, 6日目)にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることとした。その結果、酢酸とプロピオン酸は脂肪酸合成関連遺伝子発現量を濃度依存的に増加させた。これは、筋肉内脂肪細胞分化の初期に揮発性脂肪酸が脂肪酸合成経路に関与していることを示唆した。
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