研究課題/領域番号 |
16K08000
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
田上 貴寛 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (60355104)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ニワトリ / 始原生殖細胞 / 培養細胞 / 遺伝子導入 |
研究実績の概要 |
ニワトリの遺伝子改変には、始原生殖細胞(PGC)の培養技術が不可欠となっているが、これまで雄PGCの長期培養は可能であるものの雌PGCの培養は困難であった。このため遺伝子改変ニワトリの作出には、雄の遺伝子改変キメラニワトリを作出し、そこから最低2世代を経る必要がある。そこで目標達成までの期間を短縮するため、29年度は雌雄のニワトリPGCの安定的な培養法を確立した。30年度は、この培養した雌雄のPGCを同性のニワトリに移植し、キメラニワトリを作出した(雄:4羽、雌:5羽)。これらのキメラニワトリについて性成熟後に交配試験を行った結果、雄4羽中3羽、雌5羽中1羽においてドナー細胞である培養PGCからの産子が得られた。従って、29年度に開発した方法によって作出した雌雄の培養PGCは、配偶子形成能を維持しており、その配偶子は受精能も有していることが明らかとなった。これにより、雌雄の効率的な培養PGCの作出技術が開発された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PGC形成能を有しない遺伝子改変ニワトリを作出するために必要な2種類のベクターの作出に遅れが生じた。問題は既に解決し、ベクター候補は既に作出しているが、このベクターの配列の正確性・機能性についてはまだ未確定のため今年度の研究実績の概要には記述しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子導入用ベクター作りに遅れは生じているが、始原生殖細胞の培養技術の改良により雌雄の始原生殖細胞が配偶子形成機能を持ったまま培養できることが確実となった。これにより、当初の予定では2世代を経なければつくることが出来ない目的の遺伝子改変ニワトリが1世代の交配で作ることが出来る可能性が出てきた。このため、今後は目的のニワトリを作出するまでのスピードアップが図れると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子導入用ベクターの開発に遅れが生じたため、始原生殖細胞へのベクター導入工程以降を進めることが困難となった。ベクター開発が遅れた理由は、生殖細胞特異的遺伝子(CVH)遺伝子制御領域についてPCRを用いたサブクローニングができなかったことにある。しかし現在は、PCR方法等の改善により問題が解決し、既に遺伝子導入に必要なベクターの作出はできている。次年度は、始原生殖細胞の培養技術を利用して作出した遺伝子導入用ベクターを始原生殖細胞へ導入する。2018年9月までに遺伝子が導入された始原生殖細胞をニワトリレシピエント胚へ移植し雌雄のキメラニワトリを得る。2019年2月を目途に目的の遺伝子が導入された精子を多く含む雄キメラニワトリと雌キメラニワトリを交配することにより、その後代において目的となる生殖細胞を形成しないニワトリが得られるかどうかを確認する。
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