研究課題/領域番号 |
16K08010
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
寳示戸 雅之 北里大学, 獣医学部, 教授 (50355088)
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研究分担者 |
堤 道生 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 上級研究員 (70373248)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 有機管理 / 肉牛生産 / 養分フロー / 窒素 / リン / LCA |
研究実績の概要 |
1.有機的管理草地の養分フロー:(1)クローバ引き抜き法によるマメ科牧草窒素固定量の事例調査を重ねた。(2)牧草生産による養分(N,P,K)吸収量の事例調査を重ねた。(3)草地土壌の窒素ストックを土壌分析から明らかにした。(4)堆肥生産と散布による窒素の動きを追跡した。アンモニア揮散についても文献値を参考に推定値を求めた。 2.有機的管理草地を基盤に生産される北里八雲牛生体の養分フロー解析:年間に出荷される肉牛の頭数と体重から文献値を使って養分アウトフローを求めた。 3.自然沈着による投入養分フロー評価:湿性沈着と、パッシブサンプラー法による大気中アンモニア濃度から求めた乾性沈着量から自然沈着量を求めた。 4.土壌養分量の再評価:土壌中の全窒素、全炭素、全リンをそれぞれ適切な分析法で求め、上記で求める年間収支との比較を行った。 有機的管理導入前後(以下、非有機および有機)の八雲牧場における肉用牛繁殖・肥育一貫生産および慣行法による繁殖・肥育の環境影響評価を行い、これらの結果を比較した。自家産牧草のみの給与で生産を行う八雲牧場では、有機的管理導入前後ともに、慣行と比較して枝肉重量あたりの酸性化・富栄養化ポテンシャル、エネルギー消費が大幅に低減されることが明らかとなった。一方、非有機ではGHG排出量が慣行を上回っていたが、有機ではGHG排出量が慣行をやや下回るとともに、さらにエネルギー消費が低減されていた。このように、八雲牧場における有機的管理導入は、環境影響の面から好ましいことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り進捗しており、計画通り研究を推進する。なお本年度および次年度には、成果を国際学会に発表予定である。本年度に収集・整理したデータに基づいて、八雲牧場における肉用牛生産全体の環境影響評価を2005年以降の各年について行う。八雲牧場で新たに取得されたデータについて、収集・整理を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定より人件費、消耗品費が少なかった上、国際学会発表を1年遅らせたため、余剰金が生じた。次年度およびその翌年に国際学会発表を計画しており、相殺される予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
賃金と旅費、委託分析費で消費する予定である。
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