研究課題/領域番号 |
16K08013
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
高山 喜晴 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門 畜産物研究領域, 上級研究員 (00343989)
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研究分担者 |
青木 綾子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (60610368)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ラクトフェリン / T細胞 / ケモカイン受容体 |
研究実績の概要 |
T細胞におけるラクトフェリン受容体を明らかにする目的で、株化されたヒトT細胞であるJurkat-T細胞を用いて、ラクトフェリン刺激によるAkt経路とSTAT3経路の活性化が、ケモカイン受容体であるCXCR4に依存しているか否かを検討した。しかしながら、Jurkat-T細胞では、細胞を刺激しない状態でもAktのリン酸化が比較的高レベルのため、ラクトフェリン刺激によるAktの活性化、およびそのAMD3100(CXCR4阻害剤)による阻害効果は明確でなかった。一方、ラクトフェリン刺激によるSTAT3のリン酸化は、CXCR4阻害剤の処理により部分的に阻害された。これらの結果から、ラクトフェリンによるSTAT3経路の活性化は、部分的にはCXCR4に依存していることが示唆された。また、Jurkat-T細胞を用いて、ラクトフェリン刺激によりCXCR4が、チロシンリン酸化・ユビキチン化・二量体化などの修飾を受けるか検討したが、Jurkat-T細胞においては、ラクトフェリン刺激によるCXCR4のチロシンリン酸化・ユビキチン化・二量体化を検出することができなかった。これらの結果、T細胞においてラクトフェリンによるCXCR4とその下流の経路の活性化は、すでに報告した腸管上皮細胞や角化細胞とは全く異なることが示唆された。 一方、ラクトフェリンの炎症抑制効果がT細胞を介しているか検討するため、Balb/c マウスから脾臓を抽出し、アイソレーションキットを用いて未分化T 細胞を精製し、免疫不全マウスであるSCID マウスの腹腔内に移入し、大腸炎を誘発させた。このマウスにラクトフェリンを5週間経口投与したが、ラクトフェリンの炎症抑制効果は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト株化T細胞におけるラクトフェリン受容体としてのCXCR4の機能解析ができていないため、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
血球系細胞のモデルとして、ヒト単球由来のTHP-1細胞を用いてラクトフェリンによる細胞の増殖・遊走にCXCR4が関与しているか否かを検討する。また、マウスより調製したT細胞を用いて、ラクトフェリン刺激によるAkt経路、STAT3経路の活性化がCXCR4に依存しているか否かを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が28年度に産休を取得したため、配分を行わなかった。また、年度末に購入手続きをした試薬の一部の納品が間に合わず、購入手続きを29年度に延期した。この結果、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
購入延期となった試薬は29年度に購入し、実験に使用する予定である。
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