昨年度までに取得済みであったnested PCRおよび16S rRNA遺伝子配列のデータを中心に、週齢間や養鶏場間の比較を詳細に行った。まず、Nested PCRと16S rRNA遺伝子配列データとでは、カンピロバクターの検出感度が異なっているが、両者の検出結果は概ね一致しており、いずれも検出に際して大きな問題のないことがわかった。次に、これらのデータの精査により、週齢によって、複数収集した検体におけるカンピロバクターの検体率が異なることがわかった。このとき、細菌叢全体の細菌構成を比べてみると、概ね週齢に依存的な構成の変化が推察された。すなわち、細菌叢の細菌構成が週齢にしたがって変化することによって、カンピロバクターの定着の程度に違いが生じていることが示唆された。ここでさらに、カンピロバクターの検出の有無によって、細菌叢の細菌構成に違いがあるかどうかを調べると、特定の細菌群の存在比率が有意に高かったり、逆に低かったりすることがわかった。こういった細菌群が、細菌叢においてカンピロバクターの定着を助けたり、逆に定着を阻害するように作用している可能性が示唆された。
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