研究課題
インフルエンザウイルスは広い宿主域を持つ人獣共通感染症である。現在、M2イオンチャネル阻害剤とNA阻害剤という二つの抗ウイルス薬が認可されているが、耐性ウイルス出現の問題があるため、新規抗インフルエンザ薬の開発が期待されている。従来品とは異なる戦略に基づいた抗ウイルス薬開発のためには、本ウイルスの増殖機構を詳細に解析する必要がある。本研究では、ヌクレオプロテイン(NP)に着目し、1) NPの保存領域のウイルス増殖における役割を解析する。また、2) NPと相互作用する宿主蛋白質が、ウイルス増殖においてどのような役割を果たしているかを解析する。さらに1)と2)で得られた知見を基にして、3) 抗ウイルス薬の標的とするべき因子を決定することを目指す。インフルエンザウイルスは、細胞に感染すると、宿主蛋白質を利用して複製・増殖する。インフルエンザウイルスのゲノムRNAは、感染した細胞の核内でNPとウイルスポリメラーゼ蛋白質の複合体であるvRNPを 形成する。我々は、NPと会合する宿主蛋白質として同定された因子Yに着目し、CRISPR/Cas9の系を用いて、因子Yのノックアウトマウスを作成した。因子Yのノックアウトマウスに、致死量のインフルエンザウイルスを感染させたところ、ワイルドタイプのマウスが全て死亡したのに対して、4匹中3匹のノックアウトマウスが生残した。以上の結果から、NPと会合する因子Yが、インフルエンザウイルス感染に対する抵抗性に関与することが示唆された。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
インフルエンザ その他の呼吸器感染症
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