研究課題/領域番号 |
16K08018
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村本 裕紀子 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 特別研究員(RPD) (70436567)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インフルエンザウイルス |
研究実績の概要 |
近年、H5N1、H7N9ウイルスなど、様々なHA亜型のインフルエンザウイルスによる新型インフルエンザの発生が危ぶまれている。インフルエンザの治療には、ウイルス蛋白質NAの阻害薬が使用されているが、耐性ウイルスの出現が問題となる。抗体医薬品は、一つの抗体が一つの抗原を認識する特異性を利用した、副作用の少ない効果的な治療薬である。本研究では、抗体医薬品として全てのA型インフルエンザの治療に利用可能な、高親和性であり、かつ全てのA型ウイルスHA蛋白質を中和するユニバーサルなモノクローナル抗体の作出法を確立することを目的とする。HA機能の必須領域を抗体の標的とするため、耐性ウイルスの出現は少ないと予想され、インフルエンザの新たな治療法の開発につながるとともに、本手法は他のウイルス性感染症の治療法の開発にも応用できると考えられる。 これまでに、免疫方法を変更してマウスに免疫した後、そのマウスのリンパ球とミエローマ細胞とのフュージョンを行い、ハイブリドーマの作出を試みたところ、複数のHA亜型を認識する抗インフルエンザウイルス抗体を作出できた。つまり、複数のHA亜型を認識する抗体を作製するには、変更した方法の方が適していると考えられる。今後は、さらに免疫方法を試して比較することにより、治療用に利用可能な高親和性モノクローナル抗体の作出法を確立する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、マウスにさまざまな免疫方法で免疫を行い、モノクローナル抗体を多数作出した後、抗体のスクリーニング方法、抗体の親和性、認識するインフルエンザウイルスHA亜型の数、作出できたモノクローナル抗体の総数などを比較することにより、治療用に利用できる高親和性であり、かつ、全てのHA亜型のインフルエンザウイルスHA蛋白質を中和するような広域親和性を示すモノクローナル抗体を作出する方法を確立することを目的とする。まず、HA蛋白質保存領域を含む免疫源を準備し、マウスに免疫し、マウス血清中の抗体価を調べたところ、非常に抗体価が高いことがわかった。そのマウスのリンパ球とミエローマ細胞とのフュージョンを行い、ハイブリドーマの作出を試みた。スクリーニングを行い、抗インフルエンザウイルス抗体産生ハイブリドーマを選別できたが、多数のHA亜型を認識する抗体は作出できなかった。そこで次に、別の免疫源を用いてマウスに免疫した。マウスの抗体価は非常に抗体価が高く、そのマウスのリンパ球も用いてフュージョンを行ったところ、複数のHA亜型を認識する高親和性の抗インフルエンザウイルス抗体産生ハイブリドーマを選別できた。そして現在は、さらに免疫方法に変更を加えて、ハイブリドーマの作出を進めている。以上により、これまでに数種類の方法を比較しながら、抗体の作出を進めていること、特に目的である高親和性・広域親和性抗体を作出できるようになってきていることから、本研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、さまざまな方法でモノクローナル抗体の作出を進めてきた。これまでに従来の方法でも抗体産生ハイブリドーマを作出できていたが、工夫した方法ではより目的に合ったような、親和性が高く、広域な親和性を示す可能性が高い抗体が作出できてきている。今後は、作出したこれらの抗体の性状解析を進めて、治療に使用できるような高親和性・広域親和性を示すかどうかを明らかにする計画である。また、抗体の作出方法に更なる変更を加えて、高親和性・広域親和性を示すような抗体の作出を進めている。今後これらを進捗させて、抗体のインフルエンザウイルス中和活性、やインフルエンザ治療効果を比較し、親和性を測定比較することにより、高親和性・広域親和性を示すモノクローナル抗体の作出法の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに、モノクローナル抗体の作出方法の開発を進めてきたが、開発の初期段階で非常に多数のハイブリドーマが選別されたため、細胞培養などの物品費の使用が予定よりも少なかったと考えられる。 今後は作出した抗体の性状解析を行うため、多額の物品費が必要になる。現在も、さらにより良いと予想される新しい免疫方法やこれまでの改善した免疫方法でマウスを免疫し、高親和性抗体の作出を進めているため、さらなる物品の消費が見込まれる。今後、これらの物品費として、研究費を使用する計画である。
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