研究課題/領域番号 |
16K08020
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
森田 剛仁 鳥取大学, 農学部, 教授 (70273901)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | てんかん / 神経新生 |
研究実績の概要 |
Sprague-Dawleyラット(雄、7週齢、n=27)に塩化リチウム(127 mg/kg)、その24時間後にピロカルピン(40 mg/kg)を腹腔内投与して発作を誘発し、誘発の30分後にジアゼパム(2 mg/kg)を筋肉内投与した。発作誘発後の1,2,4,14,30,60及び150日後にホルマリンを用いた灌流固定を行い発作発症群を得た。各個体の脳について、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色並びにdoublecortin (DCX), Iba-1、glial fibrillary acidic protein (GFAP), NeuN, postsynaptic density protein 95 (PSD-95)およびsynaptophysin(Sypt)に対する免疫組織化学的検索を行った。発作誘発後から150日後まで断続的に発作を示した。 発作誘発後の1日から14日後に梨状葉皮質において、組織傷害を示唆する所見、すなわち神経細胞壊死、Iba-1陽性ミクログリアの増数およびアストロサイトの増数が認められた。14日後には梨状葉皮質においてGFAP陽性アストロサイトの増数と共に多数のDCX陽性細胞が認められた。30日および60日後にはDCX陽性細胞は認められず、NeuN陽性の成熟神経細胞が散見された。150日後では、数層にわたりNeuN陽性の新生神経細胞の集塊が観察され、同部位にPSD-95の陽性像およびSyptの強陽性像が認められた。 以上の結果より、①梨状葉において発作誘発後1日目より組織傷害が生じ、14日目より主に組織修復および神経新生が生じること、②アストロサイトの著明な増生を伴いDCX陽性未熟神経細胞が増生する可能性があること、③発作後150日後に瘢痕組織周囲にPSD-95陽性細胞(グルタミン酸作動性神経細胞)が出現し、新たな発作焦点となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ピロカルピンによるてんかん発作誘発後から150日後まで飼育する必要があり、実験期間が長いことにより、脳材料を作製し結果を出すまでに時間を要したため、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ピロカルピンによるてんかん発作誘発後から150日後まで飼育し脳材料を作製し、各種検査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
慢性てんかんモデルラットを作製する上で、時間を要し、詳細な解析の一部を次年度に延期して行う必要が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
梨状葉に新しく形成された組織(発作焦点に関与)の由来について同定すべく, てんかん発作後にどの部位において新生神経細胞が生み出されるのか5’-Bromo-2-deoxyuridine (BrdU) を投与し詳細に検討する。さらに、神経新生の過程においてどのような蛋白質が関与しているのか、神経細胞の分化に関連する既知の蛋白質について免疫組織学的・免疫電子顕微鏡学的手法を用いた解析、およびウエスタンブロット、リアルタイムPCR等の分子病理学的手法を用いた解析を実施する。
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