研究課題/領域番号 |
16K08021
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
麻田 正仁 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (40587028)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | バベシア / 遺伝子組換え / ウシ |
研究実績の概要 |
家畜寄生原虫の運動性や宿主細胞侵入性はその生存にとって必須の機能であり、宿主への病原性とも密接なつながりを持つ。バベシア症はアピコンプレクサ門バベシア属原虫による家畜の寄生虫病であり、マダニによって媒介される。特にウシのバベシア症は熱帯地域から日本を含む温帯地域に至るまで広く分布しており、畜産業に多大な経済的被害をもたらしている。バベシア原虫はウシ体内では赤血球内に寄生し、発熱、貧血、黄疸や血色素尿等の症状を引き起し、時に宿主を死に至らしめる。なかでもバベシア・ボビス(Babesia bovis)は病原性が高いことから、ピロプラズマ病として家畜伝染病に指定されているが、その赤血球寄生メカニズムの解明は進んでいない。本研究はB. bovisを対象とし、申請者が報告した赤血球寄生ステージバベシア原虫の滑走運動の分子機序を明らかにすることで、原虫の増殖を抑制する新たな作用機点を見出すことを目的としている。 これまでに私たちはTRAPファミリー遺伝子のシングルノックアウト原虫を作製し、その1つについてノックアウト原虫が得られないことを明らかとした。そこで、ノックアウト原虫が得られなかったTRAP遺伝子の機能解析を行うため、glmSを使用した遺伝子の誘導型ノックダウン法並びにCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集法を開発した。現在、ノックアウト原虫が得られなかったTRAP遺伝子について、誘導型ノックダウン原虫の作出に成功し、表現型解析を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していなかった、glmSを使用した遺伝子の誘導型ノックダウン法並びにCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集法の開発が必要になり、研究課題の進捗がやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
目的遺伝子の誘導型ノックダウン原虫が得られたため、表現型解析を行うことで、その機能解析を進め、バベシア原虫の運動性や宿主細胞侵入性との関連を明らかにする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた遺伝子組換え法で原虫が得られない結果となり、研究計画の見直しを行い、誘導型遺伝子ノックアウト法など新規手法の確立を行うこととなり、研究遂行に想定以上の時間を要した。 研究がやや遅れており、現在投稿中の論文について、追加実験時の実験消耗品費用及び論文掲載費が必要なため、次年度使用額が発生した。
|