研究課題/領域番号 |
16K08023
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
川口 博明 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (60325777)
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研究分担者 |
谷本 昭英 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10217151)
堀内 正久 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50264403)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 梗塞病変 / 葉酸 / ホモシステイン / ミニブタモデル |
研究実績の概要 |
我々の開発した食餌制御(高脂肪・高コレステロール食の8週間給餌)によるマイクロミニピッグ動脈硬化症モデルを利用し、平成25~27年の科研費で、食餌制御にさらにアンジオテンシンⅡ(AT-2)あるいはNOS阻害剤(L-NAME)による高血圧を負荷させることにより、2週間で動脈硬化を誘発できる超短期モデルを開発した。しかしながら、心筋梗塞や脳梗塞などの梗塞性病変は誘発できなかった。本課題では、我々の動脈硬化モデルに、さらにヒトの生活習慣に起因する負荷を加え、梗塞を促進するモデルの開発を目指す。同時に、梗塞を促進する機序を解明することを目的とする。 ヒトの疫学調査で、梗塞を促進する要因の1つとして高ホモシステイン血症が注目されている。このホモシステインを無害にする葉酸に着目した。一般的にこの葉酸が欠乏した食事あるいはメトキセレート(抗癌剤、葉酸代謝拮抗薬:葉酸構造類似物質)投与により、高ホモシステイン血症が生じることが知られている。 平成28年度は高ホモシステイン血症誘発モデルを目指すため、①葉酸低容量高カロリー食飼料および②葉酸欠乏飼料の開発を実施した。①は一般の豚用飼料をベースに豚用飼料50%と糖+タンパク+脂質混合50%で配合して作製した。葉酸は豚用飼料にしか含まれておらず、この配合飼料は葉酸の摂取量が半分に低下するもので、カロリーは豚用飼料の1.3倍増加する。脂質は我々の動脈硬化モデルのラードおよびコレステロールの配合飼料を参考にした。この①葉酸低容量飼料を成獣雄マイクロミニピッグ1頭に5カ月間給餌したところ、高ホモシステイン血症(1.2倍の増加)および高コレステロール血症(約200 mg/dL)を誘発できた。しかしながら、剖検では、明らかな梗塞性病変はみられなかった。②葉酸欠乏飼料は、現在、製作できる企業が海外にしかなく、国内企業を探索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本課題では、我々の食餌制御性マイクロミニピッグ動脈硬化症モデルに、さらにヒトの生活習慣に起因する負荷を加え、梗塞を促進するモデルの開発を目指す。 平成28年度は葉酸欠乏に起因する高ホモシステイン血症誘発モデルを目指すため、①葉酸低容量高カロリー食飼料および②葉酸欠乏飼料の開発を実施した。①は高ホモシステイン血症(1.2倍の増加)の誘発に成功したが、剖検では、明らかな梗塞性病変はみられなかったので、配合あるいは給餌方法と給餌期間の再検討に時間を費やしている。一方、②葉酸欠乏飼料はげっ歯類用のそれの製作は国内外で行われているが、豚用のそれは、現在、製作できる企業が海外にしかなく、国内企業を探索あるいは製作してもらう交渉を実施中である。そのために実験が実施できない状況であり、現在までの達成度としては遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本課題では、我々の食餌制御性マイクロミニピッグ動脈硬化症モデルに、さらにヒトの生活習慣に起因する負荷を加え、梗塞を促進するモデルの開発を目指す。 平成28年度は葉酸欠乏に起因する高ホモシステイン血症誘発モデルを目指すため、葉酸低容量高カロリー食飼料による高ホモシステイン血症(1.2倍の増加)の誘発には成功した。しかしながら、豚用葉酸欠乏飼料は製作企業を探索中で実験が実施できなかったため、今後の課題とする。また、メトキセレート投与による高ホモシステイン血症誘発実験を実施する予定である。この実証試験は比較的短期の実験を想定している。 これらの結果を得てから、葉酸欠乏あるいはメトキセレートによる高ホモシステイン血症誘発の状態を熟考し、ヒトの生活習慣に起因する負荷を加え、梗塞を促進するモデルの開発に適切な長期試験のプロトコールを企画していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題では、我々の食餌制御性マイクロミニピッグ動脈硬化症モデルに、さらにヒトの生活習慣に起因する負荷を加え、梗塞を促進するモデルの開発を目指す。 平成28年度は葉酸欠乏に起因する高ホモシステイン血症誘発モデルを目指すため、①葉酸低容量高カロリー食飼料および②葉酸欠乏飼料の開発を実施した。①は高ホモシステイン血症(1.2倍の増加)の誘発に成功したが、剖検では、明らかな梗塞性病変はみられなかったので、配合あるいは給餌方法と給餌期間の再検討に時間を費やしている。一方、②葉酸欠乏飼料はげっ歯類用のそれの製作は国内外で行われているが、豚用のそれは、現在、製作できる企業が海外にしかなく、国内企業を探索あるいは製作してもらう交渉を実施中である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は葉酸欠乏に起因する高ホモシステイン血症誘発モデルを目指すため、葉酸低容量高カロリー食飼料による高ホモシステイン血症(1.2倍の増加)の誘発には成功した。しかしながら、豚用葉酸欠乏飼料は製作企業を探索中で実験が実施できなかったため、今後の課題とするが、まだ国内製作企業の探索・交渉中であり、目途が立っていない。また、メトキセレート投与による高ホモシステイン血症誘発実験を今年度前半に実施する。この実証試験は比較的短期(1~4週間)の実験を想定している。 これらの結果を得てから、葉酸欠乏あるいはメトキセレートによる高ホモシステイン血症誘発の状態を熟考し、ヒトの生活習慣に起因する負荷を加え、梗塞を促進するモデルの開発に適切な長期試験のプロトコールを企画し、平成29年度後半に試験開始を目指す。
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