研究課題
鶏コクシジウムでは、感染鶏から早期に糞便中に排出されるオーシストを回収し、これを幼雛で数十代継代することで早熟化し、弱毒化できることが知られている。弱毒株では腸管内での致死ステージである無性生殖期の増殖性が著しく減退することが推察される。本研究では、他種Apicomplexa 門重要原虫を含め、次世代の弱毒化原虫によるワクチン開発に寄与すべく、鶏コクシジウム原虫を用いて、弱毒化分子機構の解明を目指す。本年度は、鶏に寄生し、最も病原性の高いEimeria tenella について弱毒株を作出した。E. tenella 強毒株を元株とし、20代の継代を行ったところ、プレパテントピリオドは約20時間短縮され、感染鶏において血便症状が消失または著しく減退した。継代的に病理組織学的解析を行ったところ、無性生殖期の欠落は認められず、病態発現ステージとなる第2代無性生殖期のシゾントが早期に出現し、かつ虫体長は約1/2へと縮小していた。20代目継代株における盲腸粘膜層の炎症および出血の程度は減弱されていることが示唆された。Eimeria 原虫の弱毒化は第2代シゾントの早期出現および縮小化に起因することが分かった。現在、継代的なゲノム比較解析および第2代シゾント期におけるトランスクリプトーム解析を準備中である。
2: おおむね順調に進展している
Eimeria tenella の弱毒化過程における生活環を詳細に同定することができた。また、次年度に実施予定である、比較ゲノム解析に向けた準備も順調に進んでいる。
次年度は、弱毒化過程における比較ゲノム解析および第2代シゾント期におけるトランスクリプトーム解析等を準備、実施する予定である。
ゲノム解析や原虫株の性状解析等、年度内での解析終了が見込めなかったため。
上記の解析実施に充てる
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
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