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2019 年度 実績報告書

鶏コクシジウムをモデルとした重要原虫の弱毒化分子機構の解明と毒力評価系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 16K08025
研究機関大阪府立大学

研究代表者

松林 誠  大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00321076)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードコクシジウム / シゾント / ゲノム解析 / 弱毒化 / 鶏
研究実績の概要

Eimeria 属原虫に感染した鶏は、下痢や重篤例では血便を主徴とする鶏コクシジウム症を発症するため、生産現場における本原虫の被害は大きい。前年度までに、最も病原性の高いE.tenella について、幼雛を用いて選択的に20代継代することにより、弱毒化に成功した。結果、強毒株で致死量の2倍に相当する原虫を投与しても宿主は病態を発現しなかった。この弱毒化メカニズムを解明するため、0、5、10、15および20代継代後のオーシストを回収し、ゲノムDNA を抽出後、Illumina HiSeq により塩基配列を決定し、そして1.3億~0.4億リードを得ることができた。公開されているE. tenella の全ゲノム情報をリファレンス配列とし、5株のリード配列をマッピングした。その結果、リファレンス株と比較して、1塩基置換等の変異が認められた箇所は計112,271個であった。各継代株についてマッピングされたリード数からVariant Allele Frequency (VAF)を算出し、0代から20代にかけてVAFが20%以上変動している箇所を決定し、deletion やフレームシフト、そしてアミノ酸変異の有無を解析した。VAFが20%以上上昇している16遺伝子領域のうち、11遺伝子でアミノ酸レベルにおいても変異が認められた。これらの遺伝子の機能は不明なものが多かったが、微小管やアクチンの重合や核化に関連するタンパク質である可能性があり、セルサイクル等に関与することが分かった。これらの遺伝子変異は、弱毒化を惹起しうるシゾントの縮小に関連している可能性が示唆された。継続して解析中ではあるが、Eimeria 属原虫の弱毒化の責任遺伝子は1つではなく、SNPやnucleotide insertionやdeletion 等によりアクチン等の細胞骨格関連タンパク質に変異が生じ、シゾントの細胞周期に影響を与え、しかしそれは虫体にとって致死的ではなく、シゾント形成の早熟そして縮小化を引き起こし、弱毒化している可能性が推察された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] Novel Characteristics of Mitochondrial Electron Transport Chain from Eimeria tenella2019

    • 著者名/発表者名
      Matsubayashi Makoto、Inaoka Daniel Ken、Komatsuya Keisuke、Hatta Takeshi、Kawahara Fumiya、Sakamoto Kimitoshi、Hikosaka Kenji、Yamagishi Junya、Sasai Kazumi、Shiba Tomoo、Harada Shigeharu、Tsuji Naotoshi、Kita Kiyoshi
    • 雑誌名

      Genes

      巻: 10 ページ: 29~29

    • DOI

      doi: 10.3390/genes10010029

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Transitions in morphological forms and rapid development of the asexual schizonts of Eimeria tenella through serial passaging in chicks2019

    • 著者名/発表者名
      Matsubayashi Makoto、Yamaguchi Hiroki、Hatta Takeshi、Kawahara Fumiya、Hatabu Toshimitsu、Iseki Hiroshi、Yamagishi Junya、Isobe Takashi、Teramoto Isao、Kaneko Akira、Kita Kiyoshi、Tsuji Naotoshi、Sasai Kazumi
    • 雑誌名

      Infection, Genetics and Evolution

      巻: 75 ページ: 103993~103993

    • DOI

      doi: 10.1016/j.meegid.2019.103993

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Susceptibility to Various Coccidiostats in the Murine Coccidian Parasite Eimeria krijgsmanni2019

    • 著者名/発表者名
      Inoue Kota、Tsujio Masashi、Matsubayashi Makoto、Inoue Ryota、Hatai Hitoshi、Andoh Masako、Abe Keisuke、Matsui Toshihiro、Matsuo Tomohide
    • 雑誌名

      Acta Parasitologica

      巻: 64 ページ: 418~422

    • DOI

      doi: 10.2478/s11686-019-00052-w

    • 査読あり
  • [図書] 動物寄生虫病学(四訂版)2019

    • 著者名/発表者名
      板垣 匡、藤﨑 幸藏 (監修)、松林 誠 (分担)
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      4254460376
  • [図書] 動物の感染症 <第四版>2019

    • 著者名/発表者名
      明石博臣 (監修)、松林 誠 (分担)
    • 総ページ数
      352
    • 出版者
      近代出版
    • ISBN
      4874022502
  • [図書] 動物病院スタッフのための犬と猫の感染症ガイド 適切でわかりやすいインフォームのために2019

    • 著者名/発表者名
      小沼 守, 前田 健, 佐藤 宏 (監修)、松林 誠 (分担)
    • 総ページ数
      166
    • 出版者
      緑書房
    • ISBN
      4895313689
  • [図書] 臨床獣医師のための犬と猫の感染症診療2019

    • 著者名/発表者名
      前田 健, 佐藤 宏 (監修)、松林 誠 (分担)
    • 総ページ数
      448
    • 出版者
      緑書房
    • ISBN
      4895313514

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公開日: 2021-01-27  

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