研究課題/領域番号 |
16K08029
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
岡村 雅史 北里大学, 獣医学部, 准教授 (70374775)
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研究分担者 |
羽田 健 北里大学, 薬学部, 講師 (00348591)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サルモネラ / 鶏 / 宿主特異性 / IVIAT |
研究実績の概要 |
Salmonella Gallinarum biovar Gallinarum(SG)は家畜伝染病予防法において法定伝染病に指定されている家禽チフスの原因菌である。SGは鳥類に対し高い病原性を有するが、ヒトをはじめ他の動物には病原性を示さない。本課題ではIVIAT(in vivo induced antigen technology)を用いて、SGの示す宿主特異性のメカニズムの一端を明らかにする。本法は、病原体のin vivoのみで発現する抗原(ivia)を免疫学的スクリーニングにより同定するものである。 Sau3AⅠ処理したSG 287/91株のゲノム断片とベクターpET28aのライゲーション産物でクローニング用大腸菌のTOP10、さらにJM109(DE3)を形質転換した。得られた形質転換体について、pET28a中のインサートとして含まれるSGゲノム断片のサイズに十分なバリエーションがあることをPCRにより確認後、これをSGゲノムライブラリーとして保存した。一方、鶏をSGで計4回免疫して血清を得、ELISAにより血清中の抗SG抗体が上昇していることを確認した。次に抗ivia抗体を得るため、in vitro培養したSG 287/91株とタンパク質発現用大腸菌JM109(DE3)の全菌体、超音波処理抗原および加熱処理抗原でin vitroでも発現する抗原に対する抗体を除去し、これを吸収血清とした。ELISAにより吸収血清のin vitro発現抗原に対する抗体価の低下を確認した。SGゲノムライブラリーをIPTG含有LB寒天培地に塗抹してインサートのゲノム断片のコードするタンパク質抗原の発現を誘導し、さらにこれを転写したメンブレンと吸収血清を反応させ、iviaを含む陽性クローンを得ることができた。今後、この陽性クローンが有するSGゲノム断片の塩基配列を決定し、iviaを同定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ライブラリーの作製効率が良くなかったため、予想よりも時間がかかったものの、当初の計画通り、ゲノムライブラリーの作製と吸収血清の作製を完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、鶏とマウス両方で計画通り進めていく計画ではあるが、感受性のないマウスで得られたiviaの意義があいまいなため、同時並列ではなく、まず鶏のivia同定に注力し、鶏への病原性にかかわるSG抗原を同定する。
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