研究課題/領域番号 |
16K08031
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
鳥居 恭司 東京農業大学, 農学部, 准教授 (50723475)
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研究分担者 |
横山 栄二 千葉県衛生研究所, 細菌研究室, 室長 (40370895)
村上 覚史 東京農業大学, 農学部, 教授 (40385498)
重村 洋明 福岡県保健環境研究所, その他部局等, 主任技師 (50761540)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | サルモネラ / 食中毒 / PFGE |
研究実績の概要 |
我々は同一食鳥処理場を調査定点とした肉用鶏におけるサルモネラの分布調査を行ってきた。その食鳥処理場では、2011年にはSalmonella Infantisが優勢に分離されていたが、2014年にはS. Agonaが優勢に分離されるようになり、S. Agonaのemergingであることが推察された。このemergingの要因を明らかとするために検討を行った。 平成28年度はS. Agona 菌株の全国規模での収集、パルスフィールド電気泳動(PFGE)による分子疫学的解析、in vitro における病原性差について検討した。 S. Agona 菌株の全国規模での収集については、全国の衛生研究所、家畜衛生研究所の協力を得て行った。2005~2015年までにヒト、食品、環境中など様々なものから分離されたS.Agona菌株を約250株収集した。 PFGEによる分子疫学的解析については、収集した菌株のDNAを2種類の制限酵素(XbaIおよびBlnI)でそれぞれ処理してPFGEを行った。PFGEデータをクラスター解析してデンドログラムを作成した。さらに、Minimum spanning tree (MST)解析して、各菌株の類似度により被験菌株をgeno-groupに分けて、clonal complex (CC)によりグループ分けを行った。その結果、収集した菌株はXbaIでは4つ、BlnIでは7つのCCが形成された。emerging菌株と同一CCに区分されたものは、XbaIでは9菌株、BlnIでは32菌株であった。 in vitro における病原性差については、PFGEによる分子疫学的解析においてemerging菌株と同一CCに区分された菌株のうち数菌株を用いてGentamycin Protection Assayを実施した。今後数を増やして結果を比較する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、S.Agona 菌株の全国規模での収集、PFGE による分子疫学的解析まで終了した。この結果をもとに、次世代シークエンサー(NGS) による全ゲノム解析による進化系統群の解明、集団遺伝学的解析によるS.Agona の進化系統群ごとの多様性の解明、S.Agona の進化系統群による病原性差の解明を実施する予定にしている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の結果を受けて、NGS により全ゲノム解析を行う菌株を選定した。この解析結果を受けて、集団遺伝学的解析によるS.Agona の進化系統群ごとの多様性の解明を行う予定にしている。また、NGS解析の結果からさらに菌株を選定して、S.Agona の進化系統群による病原性差の解明を行う予定である。また、集団遺伝学的解析、病原性差の解明の結果を受けてS.Agona の生物系統地理学的検討を行う予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
NGS による全ゲノム解析による進化系統群の解明およびS.Agona の進化系統群による病原性差の解明に関して、検討の回数が少なく必要な試薬、キットなどの購入を控えたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、NGS による全ゲノム解析による進化系統群の解明およびS.Agona の進化系統群による病原性差の解明において、キットの購入などで使用する予定である。
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