研究課題
本年度は、昨年度実施した複数のカンピロバクター食中毒事例由来株の比較ゲノム解析成績をもとに、特に、運動性に関わる代表的遺伝子群に着目して、これらの遺伝子変異領域の解析を進めた。複数事例由来の食品・臨床分離株間では、motility accessory factorの転座、点変異等が生じていた。back-crossにより、臨床分離株の運動性は食品分離株と同様の形質へと復帰を示し、当該遺伝子領域の変異がヒト感染を通じて生じたものと推察された。また、シアル酸誘導体合成遺伝子群での変異を認めた他事例由来株では、食品・臨床分離株間において、鞭毛表層に分布するPseudaminic acidに約3.1倍の量的変化を認めた。本研究を通じ、野鳥が保有するCampylonbacter jejuni株の一部はゲノム変動を通じて鶏腸管への定着を果たし、ヒトへの危害要因となりうることが示された。また、食中毒事例由来株を用いた検討を通じ、ヒトへの感染事象を通じて、本菌は運動性及び細胞付着性等に係る遺伝子及び同産物を変異・動態させることを探知することができた。
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