研究課題/領域番号 |
16K08047
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田中 綾 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70334480)
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研究分担者 |
田中 登 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (40748993)
高橋 健 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70343481)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | VFM / IVPD / 心室内圧較差 / 拡張能 |
研究実績の概要 |
圧容量曲線解析に基づく各心機能とVFMパラメータの関連性:高頻度ペーシングによる拡張型心筋症モデル犬において、左室拡張機能の指標であるtauはVFMパラメータである拡張期の渦度及び平均ベクトルと相関した。すなわち、VFM解析より得られるパラメータは左心室の収縮機能だけでなく拡張機能においても評価可能であることが明らかになった(血流会2016にて発表)。 IVPDとVFMの関連性:東京農工大学附属動物医療センターに来院し、心エコー検査を行った症例においてVFM及びIVPDの解析を実施した。症例は体格により心臓の大きさが異なるため、IVPDを左室長で割ったIVPGを指標に加えた。拡張期の渦度の最大値は年齢及びIVPGとよく相関した。すなわち渦の強さは左室流入血流速度よりも心室内圧較差の影響を受けることが明らかとなり、従来の計測法では得られない2つの指標が関連していることが明らかとなった(血流会2017にて発表)。28年度の研究によってVFMやIVPDが病態・予後の評価に有用かを検討する際の指標として拡張期の渦度の最大値や平均ベクトルが挙げられた。29年度以降はこれらの指標を用いて症例や疾患モデルに適用し、病態・予後評価への有用性を検討する予定である。 前後負荷や心拍数の変化が心室内圧較差に与える影響:麻酔下の正常犬で心負荷を変化させる実験は半分以上終了している。麻酔下で圧容量曲線解析をリアルタイムで行い、胸部大動脈バルーン拡張による後負荷の増大、大量輸液による前負荷の増大による従来心エコー指標とVFM、IVPDの計測を行っている。心臓の負荷の違いによるVFM・IVPDの変化を観察することで、その実験データから実際症例での変化を評価・予測することが容易になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドキソルビシン誘発性心筋症モデル犬を現在作成途中である。すでに作成が終了した1頭目の犬はモデル作成過程で従来法による左室内径短縮率が明らかに低下し、モデルの作成に成功している。またモデル作成過程におけるVFM・IVPD解析による指標も心機能低下を示しており、実験は順調に進行していると考えられる。東京農工大学附属動物医療センター来院症例のデータも蓄積してきており、今後統計学的解析を実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
圧容量曲線解析・VFM及びIVPD解析は順調であり、各実験は現在の手法で進める予定である。29年度は論文発表を積極的に行い、研究成果を発信していく。 実験犬は均一な体格・年齢であるが、実際のドキソルビシン誘発性心筋症の臨床例は年齢、体格など心室内血流動態を診る上で重要な点で異なる部分がある。しかしながら実際の担癌犬のデータは本学では得られない。ドキソルビシンによる腫瘍治療を行っている他施設へデータ提供依頼をしたところ協力を得られる運びとなり、現在エコーの設定が終了している。以後はデータの整合性の確認が終了次第、症例データの観察が可能となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
IVPD解析の準備に多少時間がかかったが、それらの準備に費用は費用は発生しなかった。犬の世話に当初予定の人件費が節約できたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
犬の頭数を増やして実験を進行させるため、それらの飼育管理の人件費に充てる予定。
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