研究課題/領域番号 |
16K08052
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
保田 昌宏 宮崎大学, 農学部, 教授 (10336290)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 胸腺機能 / sjTREC |
研究実績の概要 |
家畜の免疫系は、個々の栄養状態、発育状態、飼育環境などのストレス要因で個体差が生じやすく、肺炎や下痢などが発症し、慢性化する前に免疫低下の状態を発見することは容易でなない。結果として多くの頭数が慢性消耗性疾患にて死廃となっているのが現状である。そこで本研究では、末梢血を用いた家畜胸腺機能の評価方法を確立することで疾病発症前にその個体を発見の可能性を検証し、飼養管理による胸腺機能の増強が可能であるかどうかの検討を行う。前年度に確立した、家畜の胸腺機能の評価方法を用いて、臨床応用のための基盤研究を行った。1)廃用牛から得られた末梢血と胸腺サブセット解析とともにsjTREC量を指標とした定量を行い、胸腺機能の低下が評価できるかどうかを実施した、廃用牛では肉眼的に胸腺の小さい個体が多く、sjTREC量も低いため、胸腺の機能低下がおこっている事が明らかになった2)栄養補助剤(アミノ酸製剤、ビタミン剤などの飼料添加剤)などを用いたウシ、ブタ、ウマについて経時的に増体など一般的な検査項目と共に、末梢血を採取しサブセット解析などを実施し免疫能の評価を行い、さらにsjTREC定量を行った。栄養補助剤の添加や飼育環境の改善などの飼養改善を実施する事によって、末梢血中のsjTREC量が増加する事が観察された。つまり、家畜の飼養管理を改善することによって胸腺機能の強化がおこっている事が明らかになった。3)これまでにストックしたサンプルの解析を様々な飼養改善方法を評価しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度確立した、家畜の胸腺機能の評価方法を利用して、臨床応用のための基盤研究を行った。1)廃用牛から得られた末梢血と胸腺サブセット解析とともにsjTREC量を指標とした定量を行い、胸腺機能の低下が評価できるかどうかを実施した、廃用牛では肉眼的に胸腺の小さい個体が多く、sjTREC量も低いため、胸腺の機能低下がおこっている事が明らかになった2)飼料添加剤などを用いたウシ、ブタ、ウマについて経時的に増体など一般的な検査項目と共に、末梢血を採取しサブセット解析などを実施し免疫能の評価を行い、さらにsjTREC定量を行った。飼養改善によって末梢血中のsjTREC量が増加する事が観察されたので、飼養管理を改善することによって胸腺機能の強化がおこっている事が明らかになった。次年度、さらにいろいろな飼育方法を評価して解析を実施していく。研究は予定通りに進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた結果を参考にしながら、次年度は飼養改善方法の評価について経時的に家畜の増体など一般的な検査項目と共に、末梢血を採取しサブセット解析などを実施し免疫能の評価を行い、さらにsjTREC定量用の末梢血単核球を保存したので解析を実施していく。次に、輸送や移動、飼養変化などのストレス時の胸腺機能の低下が把握できるかを検証する。また、易感染性家畜の早期発見に利用可能かどうかの検証を行いたい。
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