本研究では、犬と猫の糸球体腎症の病態メカニズムを解析した。臨床的に糸球体腎症が疑われて腎生検(あるいは死後の腎病理検査)の適応となった症例は24症例(犬17例、猫7例)であった。本研究では、犬および猫の糸球体腎症ではOverfill理論にもとづく病態はほとんど起きていないことが明らかになった。ネフローゼ症候群を起こした症例はすべて古典的なUnderfill理論にもとづく病態であると考えられた。また、同じ糸球体疾患でも免疫複合体性糸球体腎炎と非免疫複合体性糸球体腎症では病理学的な進行メカニズムが異なっており、これには蛋白尿の程度が大きく影響していると考えられた。
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