今後の研究の推進方策 |
平成29年度には成熟培養時におけるウシ卵子の胚発生能マーカー遺伝子発現に及ぼすU0126添加の影響を調べるとともに、本研究によるU0126を添加する成熟培養法に我々が報告した胚培養法(Sakagami et al., J Reprod Dev, 2012, 58, 140-6; Sakagami et al., J Vet Med Sci, 2014, 76, 1403-5)すなわち、培養液にEGFとIGF-Iを添加し、さらに適量のグルコースを後期に添加する胚培養法を組み合わせ、高い確率で胚盤胞を作製できる総合培養系を確立する。また、平成30年度の実施を予定しているOPU法で得られた卵子を本研究の総合培養系で成熟・胚発育させることにより得られた胚盤胞をウシ子宮に移植して、得られた胚盤胞が正常に発育するか否かを調べる実験についても、できるだけ早くから開始・継続する。ウシの妊娠期間は約280日であり、結果が出るまでに長期間必要であり、早期に実験を開始しないと再検討が困難になるものと思われる。 これらの実験を通して、OPUにより優良牛から得られた卵子を効率よく胚盤胞にまで発育させ、この胚をレシピエントの子宮へ移植することにより、優良な遺伝子を持つ多くの新生子を産生することに貢献できる。
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