研究課題/領域番号 |
16K08063
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
山本 一郎 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (00424763)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 遊離脂肪酸受容体 |
研究実績の概要 |
ネコ遊離脂肪酸受容体(Gタンパク質共役型受容体GPR40、41、43、120)のうち、GPR41と43についての解析を行ったところ、両C末端にはアレスチン(ARRB1および2)がリガンド濃度依存的に結合することが明らかとなった。NanoBiT法により41および43のC末端部位にNanoLucルシフェラーゼ断片を融合タンパク質として293細胞膜状に発現させ、ARRB1およびARRB2の末端にもNanoLucルシフェラーゼ断片を融合・発現させる。それぞれをペアとして同一細胞内で発現させることにより、リガンド添加によるGPRとARRBの結合、すなわち内部局在化(インターナリゼーション)を生細胞で観察することに成功した。 またGPR41と43はともにネコ十二指腸でmRNAが発現していることも明らかにしており、現在、特異的抗体を用いた免疫染色により発現細胞の同定を行っている。これら両受容体は飽和脂肪酸(酢酸、酪酸など)に高い親和性を有することが知られているが、GPR同士が2量体(ダイマー)を形成することも明らかにされている。しかしながら、2017年の論文によるとホモダイマーのみならず41と43のヘテロダイマーも生体内で多く形成されていることが明らかとなった。本研究においてもNanoBiT法により41と43のヘテロダイマー形成を確認しており、ホモダイマーを介したシグナル伝達機構とは異なる様式がヘテロダイマーを介して行われていることが明らかにしつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GPR40と120についての解析は41と43に比べて遅れている。これは40と120が不飽和脂肪酸特異な受容体であるとともに、40のネコ特異的なC末端形状が影響していると考えられる。現在、40と120の解析は細胞内カルシウム濃度上昇の検出にのみ特化して進めている。
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今後の研究の推進方策 |
GPRの再利用、いわゆるインターナリゼーションを含めリガンド結合後の動態に注目し、ネコの遊離脂肪酸受容体の機能解析を進める予定である。これまでの研究によれば、特にネコGPR40のC末端が特異な機能を有し、生体内のDHAを含む不飽和脂肪酸の代謝等に関与することが明らかとなりつつある。当該年度はC末部位に特化したSNP検出も本格的に進める予定である。
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