研究実績の概要 |
ネコGPR41とGPR43抗体を作成し、ウエスタンイムノブロット法により発現タンパク質の解析を行った。無細胞系タンパク質発現システムを用い、ネコGPR41とGPR43タンパク質を合成し試料とした。結果、メンブレン上にシグナルとして検出することに成功した。同抗体を用い、正常ネコ十二指腸切片を用いた免疫組織化学染色を行い、既に報告のあるヒト十二指腸切片との比較を行った。結果、ヒト免疫組織化学染色と同様の結果を得ることができなかった。以上の結果より、作成したGPR41とGPR43抗体は抗原として認識する部位がウエスタンイムノブロット法と免疫組織化学染色法では異なり、免疫組織化学染色法のために再度抗原位置を検討することが必要とわかった。 ネコGPR40, GPR41, GPR43およびGPR120タンパク質C末端に分割型ルシフェラーゼを融合させ、発現ベクターを作成した。同ベクターをHEK293細胞に一過性発現を行い、2量体形成を解析した結果、それぞれのGPRが2量体を形成していることが発光を検出することにより明らかとなった。GPRは単量体のほか2量体として機能することが知られているが、単量体と2量体の機能差など不明な点が多いことから、この2量体検出システムによる機能解析が有用であると考えられる。同システムを他のGPR研究にも応用し、ネコのメラノコルチン受容体の機能解析を行い有用な知見を得て成果として発表した。 ネコGPR40およびGPR120のゲノム情報を元に正常ネコと肥満ネコのゲノムDNA資料を用いてSNP解析を行った。結果、肥満の遺伝子診断に応用可能なSNP情報を得ることはできなかった。さらに同遺伝子イントロン部位に存在するSNP、もしくはGPR41とGPR43のゲノムDNAに存在するSNPも含めて、より多くのネコ検体を用いたスクリーニングが必要であると考えられた。
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