研究課題/領域番号 |
16K08066
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 聡一郎 北海道大学, 獣医学研究科, 助教 (50596864)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膜タンパク質 / TMC1 |
研究実績の概要 |
本研究はtransmembrane channel-like protein 1 (TMC1) の細胞内N端領域の機能解明を目的とする。マウスTMC1にはスプライシングバリアントとしてN末端の4アミノ酸のみに違いが見られるTMC1ex1とex2が報告されている。予備実験ならびに細胞内N端領域の切断部位を狭める実験は、データベースに登録されている配列であるex2を用いて行ってきた。しかし、mRNAの5’ UTRの塩基配列からex2のタンパク質の翻訳が行われない可能性が示唆されたため、ex1とex2のmRNAからの翻訳効率を比べる実験を行った。成マウスの蝸牛のmRNAを抽出し、ex1とex2の全長を共に検出できる条件でRT-PCRを行い、増幅された産物をプラスミドにクローニングしたところ、29クローンのうち、TMC1全長をコードするmRNAはex1のみ認められ、ex2は一つも検出されなかった。部分的に増幅したPCR断片を繋ぎ合わせる方法で、データベース上のex2の配列を形成し、発現ベクターに導入してHEK293T細胞に強制発現させ、western blot法によりTMC1タンパク質の検出を試みたが、検出されなかった。一方で、同様の実験でex1を発現させた細胞からはTMC1タンパク質が検出された。TMC1 ex2ではKozak配列を導入した場合にはタンパク質の翻訳が確認された。以上の結果から、TMC1 ex2のmRNAからは開始コドン周囲配列のKozak配列との不一致により、TMC1タンパク質の翻訳が行われない可能性が強く示唆された。よって、今後の実験では、ex1を用いることにした。次に、TMC1 ex1を発現させたHEK293細胞を、TMC1の細胞内N端領域を抗原とした抗TMC1抗体で染色したところ、TMC1が検出でき、核にシグナルが検出される細胞も存在した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TMC1のex1とex2との比較により、TMC1 ex1のmRNAのみからタンパク質が翻訳されている可能性が高いと言う新たな発見が得られたと共に、免疫染色で使用できる抗体が得られたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
TMC1 ex2を用いて得られた情報を利用して、TMC1 ex1の細胞内N端領域の切断部位を同定する実験を継続する。また、作製した抗体を用いて、マウスの蝸牛から分離した有毛細胞の染色を行い、TMC1のN端領域の局在を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
5千円以下と言う少額の残予算であり、その額内で購入できる物品で、前年度に購入する必要があるものが無かったため、生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品費として使用する。
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